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「精神医学」への手紙
前頭側頭型認知症の鑑別疾患としての進行性核上性麻痺―前頭側頭型認知症にパーキンソン症候群を合併した1例(本誌 49:1129-1132,2007)に対して
著者: 上田諭13 吉池卓也23
所属機関: 1日本医科大学精神医学教室 2東京医科歯科大学附属病院精神神経科 3東京都老人医療センター精神科
ページ範囲:P.618 - P.619
文献購入ページに移動論文では,パーキンソン症候群はrisperidone 3mg投与後に生じたものの,0.5mgに減量後も増悪し,その後も転倒と嚥下障害が悪化したと記されています。抗精神病薬が「引き金」になった可能性はあるとしても,論文も示唆しているように,この経過から薬剤性は否定的です。かといって,特発性かどうかもはっきりしません。ただ,私たちの臨床実感からいって,FTD症例は(後期を除き)むしろ抗精神病薬に「強い」傾向を持ち,高用量を投与しても周徊や物品収集などの保続的行動,逸脱行動をなかなか抑制できない代わり,パーキンソニズムもきわめて少ない印象があります。薬剤性かどうかを問わず,論文のように重症で進行性のパーキンソニズムがFTDに合併し得るだろうかと感じ,パーキンソニズムを進行させる他の疾患の可能性があるのではないかと疑念を持ちました。そして臨床経過と画像所見から,重要な鑑別疾患として進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy;PSP)を検討する必要があると考えました。
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