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文献詳細

雑誌文献

精神医学50巻7号

2008年07月発行

特集 成人期のアスペルガー症候群・Ⅰ

アスペルガー障害の司法事例にみられる社会的行動の混乱

著者: 十一元三1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系

ページ範囲:P.681 - P.688

文献概要

はじめに

 本稿のテーマは,広汎性発達障害の成人期における臨床的問題のうち,社会的問題行動について司法事例を通じて考察することにある。成人期にかかわる司法事例には,刑事事件の他,家庭裁判所の扱う家事事件があるが,ここでは取り上げていない。しかし,家事事件は広汎性発達障害の人が成人期以降の私的生活の場で生じる混乱の一形態をよく表しており,成人期の臨床的問題を考えるうえで活発に取り上げられるべきテーマである(家事事件については梅下7)による先駆的論考を参照)。

 成人の刑事事件では,少年事件以上に,生育環境,障害の特性,二次的障害,合併症などが複合した背景を持ちやすく,ポイントが見えづらいことが多い。そのため,まず少年事件を通じて社会的問題行動の基本的パターンを整理し,それをもとに成人事例について検討した。

参考文献

1) 熊上崇:アスペルガー障害を持つ放火事例.精神科治療学19:1215-1221,2004
2) 熊上崇:広汎性発達障害を持つ非行事例の特徴.精神誌108:327-336,2006
3) 十一元三,崎濱盛三:アスペルガー障害の司法事例―性非行の形式と動因の分析.精神誌 104:561-584,2002
4) 十一元三:広汎性発達障害を持つ少年の鑑別・鑑定と司法処遇―精神科疾患概念の歴史的概観と現状の問題点を踏まえ.児童青年精医と近接領域45:236-245,2004
5) 十一元三:アスペルガー障害と社会行動上の問題.精神科治療学19:1109-1114,2004
6) 十一元三:司法領域における広汎性発達障害の問題.家庭裁判月報58:1-42,2006
7) 梅下節瑠:アスペルガー障害と家庭事件.こころの臨床à-la-carte 25:236-240,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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