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文献詳細

雑誌文献

精神医学50巻8号

2008年08月発行

「精神医学」への手紙

裁判員制度と精神鑑定・鑑定人尋問―模擬裁判の経験から

著者: 高岡健1 高田知二1

所属機関: 1岐阜大学医学部精神病理学分野

ページ範囲:P.826 - P.826

文献概要

 裁判員制度の導入に向けた模擬裁判が,各地で行われている。筆者らのうちの1人(K.T.)は,鑑定人役として岐阜地裁における以下の模擬裁判に関与した。

 事例は,統合失調症のために2度の入院歴がある男性が惹起した殺人である。起訴前簡易鑑定は是非弁別能力ならびに行動制御能力が著しく減弱されているとし,本鑑定は弁識能力が著しく減弱され制御能力は完全に失われていたとした(ただし,いずれの鑑定書も,被告人が有する妄想が妄想性人物誤認であるか否かに言及していないなど,欠陥があるように筆者らには映った)。裁判員の判断は心神耗弱とする者と心神喪失とする者が3名ずつに分かれ,裁判官は全員が心神喪失としたため,被告人は無罪となった。

参考文献

1) 間光洋:専門家に対する主尋問の課題.季刊 刑事弁護 53:82-85,2008
2) 田岡直博:わかりやすいだけでは裁判員の納得は得られない.季刊 刑事弁護 53:78-81,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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