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文献詳細

雑誌文献

精神医学50巻9号

2008年09月発行

文献概要

研究と報告

賀茂精神医療センターにおける統合失調症在院患者への「退院準備プログラム」の効果検討

著者: 大森寛1 高見浩2 大森信忠2 佐藤さやか3 安西信雄4 池淵恵美5

所属機関: 1呉医療センター精神科 2賀茂精神医療センター 3国立精神・神経センター精神保健研究所社会精神保健部 4国立精神・神経センター武蔵病院 5帝京大学医学部精神科学教室

ページ範囲:P.857 - P.863

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抄録

 退院準備プログラムの効果を検討することを目的に,賀茂精神医療センターに1年以上在院中の統合失調症患者で,REHAB合計得点が70点以下であり,本研究への参加を文書にて同意した10名を対象に,プログラムを施行する参加群5名と通常の治療を継続する対照群5名に無作為に割り付けた。参加群に対し,2006年5~9月,全17回のプログラムおよび多職種による定期的なカンファレンスを行った。対象者に対し,プログラム前後にBPRS,REHAB,知識度テストを行い,プログラム開始1年後の転帰を比較した。1年転帰では,精神症状や社会的機能は参加群,対照群で差はなかったが,退院した者は参加群で多い傾向にあり,疾病の知識度も参加群で有意に上昇した。

参考文献

1) Hogarty GE, Anderson CM, Reiss DJ, et al:Family psychoeducation, social skills training, and maintenance chemotherapy in the aftercare treatment of schizophrenia. Ⅱ. Two-year effects of a controlled study on relapse and adjustment. Environmental-Personal Indicators in the Course of Schizophrenia(EPICS)Research Group. Arch Gen Psychiatry 48:340-347, 1991
2) 井上新平 監訳:地域生活への再参加プログラム.丸善,1998
3) 井上新平,安西信雄,池淵恵美 監修:精神障害を持つ人の退院準備プログラム.丸善,2006
4) Kopelowicz A, Wallence CJ, Zarate R:Teaching psychiatric inpatients to re-enter the community:A brief method of improving the continuity of care. Psychiatr Serv 49:1313-1316, 1998
5) 厚生労働省精神保健福祉対策本部:精神保健福祉の改革に向けた今後の対策の方向(精神保健福祉対策本部中間報告).厚生労働省,2003.5.15
6) 熊谷直樹,安西信雄,池淵恵美:統合失調症圏在院患者に対する「地域生活への再参加プログラム」の無作為割付効果研究―疾患自己管理の知識の獲得を中心に.精神誌 105:1514-1531,2003
7) 佐藤さやか,池淵恵美,安西信雄,他:退院促進のために必要な心理社会的治療.精神障害リハ 10:107-114,2006
8) Smith TE, Hull JW, MacKain SJ, et al:Training hospitalized patients with schizophrenia in community reintegration skills. Psychiatr Serv 47:1099-1103, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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