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ページ範囲:P.936 - P.936
文献購入ページに移動ICD-10, DSM-IVの中にSchneiderの1級症状がほとんど取り入れられ,診断に大きな影響を与えていることは周知の事実である。そして,明確な規準に従って,初心者も経験者も非精神科医も使える診断に関する共通の言語として世界中で利用されるようになっている。しかし,臨床場面においては,ICD-10やDSM-IVは診断マニュアル化してきわめて表層的な使われ方になっている場合も多いのではなかろうか。症状の把握に重点が置かれ,状態像,全体像の把握,患者を理解しようとする過程がおろそかになっているように思える。症状把握の時点でマニュアルとの突き合わせが行われ,診断ができると一息ついてしまう。個々の症状把握とともに状態像,全体像の把握は連動して行われなければならない。また,生活史,病前性格,発病以来の経過なども病状を理解する手がかりになる。これらによって症状の持つ意味がわかってくる。これらの作業は患者の置かれている状態を把握し理解する過程であり,治療の第一歩になる。
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