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文献概要

短報

Valproateが有効と考えられた反復性短期うつ病性障害の1例

著者: 和田健1

所属機関: 1広島市立広島市民病院精神科

ページ範囲:P.81 - P.84

はじめに

 現在のDSM-Ⅳ-TRやICD-10では大うつ病性障害と診断するために症状が2週間持続することを求めているが,より短い期間のうつ病相を反復する症例を経験することがある。これまでに,海外ではAngstら1)がrecurrent brief depressionとして,Montgomeryら4)がintermittent brief depressionとして,抑うつ症状の持続が2週間未満の患者群について報告している。ICD-10では反復性短期うつ病性障害(F38.10,以下RBDDと略す)というカテゴリーが設けられているが,わが国では十分に認知されているとは言い難い。治療についても確立されておらず,lithium2,3,6)やlamotrigine5)などが奏効したという症例報告にとどまっている。今回筆者はvalproateが有効であったRBDDと考えられる1例を経験したので報告する。

参考文献

1) Angst J, Merikangas M, Sheidegger P, et al:Recurrent brief depression:A new subtype of affective disorder. J Affect Disord 19:87-98, 1990
2) Corominas A, Bonet P, Nieto E:Recurrent brief depression successfully treated with lithium. Biol Psychiatry 44:927-929, 1998
3) 町田なな子,塩塚慎一,仙波純一:10日から14日間程度のうつ病エピソードを1ヶ月に1度反復した反復性短期うつ病性障害の一例.精神科治療学 20:523-527, 2005
4) Montgomery SA, Montgomery D, Baldwin D, et al:Intermittent 3-day depressions and suicidal behavior. Neuropsychobiology 22:128-134, 1989
5) Ravindran LN, Ravindran AV,:Lamotrigine in the treatment of recurrent brief depression. Int Clin Psychopharmacol 22:121-123, 2007
6) 仙波純一:反復性短期うつ病性障害(recurrent brief depression,ICD-10)の一例―診断上の問題とlithiumの有効性.精神医学 36:291-295, 1994
7) 柴山雅俊:recurrent brief depressive disorder.広瀬徹也,樋口輝彦 編:臨床精神医学講座(4) 気分障害.中山書店,pp373-385,1998

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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