icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学51巻1号

2009年01月発行

書評

―山崎晃資 編著―少年事件―おとなは何ができるか フリーアクセス

著者: 飯森眞喜雄1

所属機関: 1東京医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.97 - P.97

文献概要

 日常臨床において,たいていの精神科医は「少年」と聞くと腰が引けるだろう。「事件」だと逃げ出したくなる。できたら避けたいし,診ないですませたい。「少年」も「事件」も得体が知れないからだ。ましてやオジサン精神科医には理解できないことばかりである。今の少年たちがどんな息遣いをし,何を感じているのかが肌身にピンとこないのだ。なんとか共感しようにも,その足がかりとなる自分の少年時代のこころは彼方にある。だから近寄りがたい。いかに把握し,どう対応し,どのように治療していったらいいか見当がつかないのだ。精神科医は自分が生きている時代の空気から逃れることができないが,さりとて変質する空気に合わせて呼吸法を変えていくのも難しい。

 さて,そこで『少年事件』である。「少年」に加えて「事件」までくっついている。評者も本書を開くまでは気が重かった。だが,読み終えた後は一変してしまった。題名はセンセーショナルで氾濫するマスコミ本のようでもあるが,中身は濃い。ところが,読後はこころの持ちようが軽くなるのである。そして,「さぁ,今度の休みには渋谷の街にでも出かけてみようか」という気を起こさせてくれる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら