文献詳細
短報
著しい心気・抑うつ状態を呈し,quetiapineが著効した器質性気分障害の1例
著者: 三浦至12 竹内賢1 勝見明彦1 藤井英介1 森東2 沼田吉彦2 丹羽真一1
所属機関: 1福島県立医科大学医学部神経精神医学講座 2財団法人星総合病院 星ヶ丘病院
ページ範囲:P.1009 - P.1012
文献概要
器質性気分障害は,頭部外傷や脳腫瘍,脳血管障害などの脳器質性疾患後に発症し,その薬物療法に際しては器質因に基づく副作用発現などの問題から慎重を要し,結果として気分障害が持続する場合も少なくない。一方,双極性障害におけるうつ状態(双極性うつ病;bipolar depression)に対する薬物療法については,近年になり非定型抗精神病薬の有効性が報告され,気分安定薬や抗うつ薬に加え治療選択肢は広がりつつある。今回我々は,脳炎後に双極性の気分障害を発症し,心気・抑うつ状態に対しquetiapine(QTP)が奏効した1例を経験したので報告し,その有効性について考察する。なお,本症例にQTPを用いることについては患者とその家族に説明のうえ同意を得た。
参考文献
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