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雑誌詳細

文献概要

特集 現代の自殺をめぐる話題

自殺対策と自死遺族支援

著者: 山田朋樹1 白川教人2 河西千秋1 石ヶ坪潤13 小田原俊成1 平安良雄1

所属機関: 1横浜市立大学精神医学教室 2横浜市こころの健康相談センター 3横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター

ページ範囲:P.1077 - P.1084

はじめに

 2006年に制定された自殺対策基本法に続き,翌2007年6月8日に閣議決定された自殺総合対策大綱(以下,大綱)における重点施策の1つとして「遺された人の苦痛緩和」が挙げられている。具体的には,①自助グループ支援,②学校・職場での自殺発生後の身近な人への対応,③遺族支援の情報の充実,が提唱されている。大綱におけるこうした提示は,わが国の遺族支援体制がまだ不十分であり,喫緊の課題として早急に取り組むべき事柄であることを示している。その結果,最近になって大綱によって設置された機関である自殺予防総合対策センター(国立精神・神経センター内)や各自治体における自殺対策の中で,自死遺族支援が徐々に取り上げられるようになってきた。本稿では,その現状を紹介しながら,自殺が遺族に及ぼす影響や遺族支援をめぐる問題点について述べる。

参考文献

1) Cho Y:Suicide from a psychiatric perspective. PhD thesis. University of Cambridge, Cambridge, 1997
2) George SE, Jeffrey TM 著,飛鳥井望 監訳,藤井厚子 訳:惨事ストレスケア―緊急事態ストレス管理の技法.誠信書房,2004
3) Hawton K, Zahl D, Weatherall R:Suicide following deliberate self-harm:long-term:Follow-up of patients who presented to a general hospital. Br J Psychiatry 182:537-542, 2003
4) 自死遺児編集委員会・あしなが育英会 編:自殺って言えなかった。サンマーク出版,2005
5) 河西千秋:新潮選書 自殺予防学.新潮社,2009
6) 国立精神・神経センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター:自殺予防と遺族支援のための基礎調査(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/kisochousa/index.html)
7) Maris RW, Berman AL, Silverman MM:Comprehensive Textbook of Suicidology. The Guilford Press, New York, 2000
8) 大塚耕太郎,酒井明夫,智田文徳:岩手県は自殺予防対策が進んでいると聞きますが,具体的にどんなことが行われているのですか?.自殺対策ハンドブックQ & A―基本法の解説と効果的な連携の手法.pp143-145,2007
9) Shneidman ES 著,高橋祥友 訳:シュナイドマンの自殺学―自己破壊行動に対する臨床的アプローチ.金剛出版,2005
10) Smolin A, Guinan J 著,高橋祥友 監修,柳沢圭子 訳:自殺で遺された人たちのサポートガイド.明石書店,2007
11) Suominen K, Isometsä E, Heilä H, et al:General hospital suicides:A psychological autopsy study in Finland. Gen Hosp Psychiatry 24:412-416, 2002
12) 高橋祥友:自殺のサインを読み取る.講談社,2001
13) 渡邉直樹:平成19年度厚生労働科学研究費補助金 こころの健康科学研究事業心理学的剖検データベースを活用した自殺の原因分析に関する研究 研究協力報告書 調査面接から遺族支援へ.2007

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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