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研究と報告
就労支援事業が就労につながった全般性社交不安障害(回避性パーソナリティ障害)の2症例
著者: 永田利彦1 村上澄子2 熊谷幸市3 山田恒1 吉村知穂1 中島豪紀1 切池信夫1
所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学 2前・大阪市地域就労支援センター(現・ハローワークプラザ難波) 3大阪市地域就労支援センター
ページ範囲:P.1157 - P.1163
文献購入ページに移動我々の想像以上に,比較的年齢が高い人が,社会からひきこもった状態にある可能性が指摘されており,それらのケースに対するアプローチが課題となりつつある。今回,全般性の社交不安障害と回避性パーソナリティ障害を併存する2症例に対し,まずセロトニン再取り込み阻害薬による薬物療法を行いつつ,行動の変化を促した。ある程度の変化が生じた後には,就労支援事業に主体的に参加し,就労に至った。ひきこもりの精神科診断名はさまざまであるが,回避性パーソナリティ障害を併存する症例でも全般性の社交不安障害と診断されること,この全般性の社交不安障害に対して薬物療法が有効であるが,効果が得られるには時間を要すること,実際に社会に適応するにはきめ細かい対応が必要なことを論じた。
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