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文献詳細

雑誌文献

精神医学51巻12号

2009年12月発行

研究と報告

精神機能のための簡易客観指標

著者: 臺弘1 三宅由子2 斎藤治2 丹羽真一2

所属機関: 1坂本医院 2NPO法人UBOM研究会

ページ範囲:P.1173 - P.1184

文献概要

抄録

 精神保健の基軸の1つである生活療法には,医療者,患者,関係者を通じて共有される精神機能の客観的指標があることが望まれる。臺は診療と自立支援の現場の10余年の経験から,使用しやすい簡易指標の1組を作り上げて,その内容は本誌に第1~3報として順次報告した。それは具体的でわかりやすい貴重な情報を与えてくれるものであったが,さらに複雑な課題を将来に提示することにもなった。本論文は全望を総括する意味で企図されたが,その間に本指標をUBOMと命名した丹羽が,普及を目的とするNPO法人の研究会を組織し,共著者として参加してくれたのは心強いことであった。従来からの経緯で,総括論文も統合失調症に重点が置かれているものの,筆者は自閉性スペクトラム障害や性格障害などの広い視点からも,本指標が活用され検討を受けることを期待している。

参考文献

1) 棟居俊夫,小野靖樹,武藤宏平,他:自閉症スペクトラム障害の簡易精神機能テスト(臺)の結果.精神医学 49:599-606,2007
2) Poeppel E著,田山忠行,尾形敬次 訳:意識のなかの時間.岩波書店,1995
3) Shinba T, Shinizaki T, Kariya N, et al:Random number generation deficit in schizophrenia charaterized by oral vs written response modes. Percept Mot Skills 91:1091-1105, 2000
4) 須藤靖 著:解析力学・量子論.東京大学出版会,2008
5) 臺 弘,三宅由子:慢性分裂病の機能的亜型分類―反応時間とストレス応答による.精神医学 38:127-133,1996
6) 臺 弘,三宅由子:日常臨床のための簡易精神生理テスト―特に精神分裂病について.精神医学 39:801-808,1997
7) 臺 弘,斎藤治,三宅由子:日常診療のための簡易精神機能テスト(第3報)―分裂病者のバウム・テスト.精神医学 43:737-744,2001
8) 臺 弘,斎藤治:統合失調症患者診療の目標―自由と病気と生活.岡崎祐士 編:新世紀の精神科治療第1巻.統合失調症の診療学.中山書店, pp3-14,2002
9) 臺 弘:日常診療のための簡易精神機能テストの実際.精神科治療学 18:965-973,2003
10) 臺 弘:生活療法の基礎理念とその思想史―生活困難の回復と二宮尊徳の再評価.臨精医 37:85-95,2008
11) 臺弘:書評:福田正人 著「もう少し知りたい統合失調症の薬と脳」.精神医学 51:404,2009
12) 山中康祐:バウムに見る臨床的かつ哲学的思惟.山中康祐,皆藤章,角野善宏 著,バウムの心理臨床.12-30,創元社,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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