文献詳細
短報
Aripiprazoleにより遅発性ジストニアを来した1例
著者: 高見浩12 今中章弘1 大森信忠1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構 賀茂精神医療センター 2現・和恒会ふたば病院
ページ範囲:P.1209 - P.1212
文献概要
遅発性ジストニアは抗精神病薬などの長期投与によって生じる遅発性錐体外路症候群の1つで,持続性筋収縮により斜頸や体幹捻転,姿勢異常などを来す不随意運動である11)。発生頻度は1~2%とまれではあるが,主観的不快度は高く,歩行にも支障を来すなど日常生活に著しい苦痛を伴うことも多い1,11)。難治性で予後不良とされ,発症予防が最も重要といわれており11),薬剤使用にあたっては注意を要する。原因薬剤として高力価抗精神病薬が多いとされるが,低力価や非定型抗精神病薬による報告例も散見される1,9)。
Aripiprazoleは既存の抗精神病薬にはないドパミンD2受容体部分アゴニスト作用を主たる薬理作用とした抗精神病薬であり4),錐体外路系副作用が少なく長期維持療法に有用とされる7)。医学雑誌を検索した限り,本邦においてaripiprazoleにより遅発性ジストニアを生じた報告例はない。今回筆者らは,aripipazole開始5か月後にジストニアを生じた統合失調症例を経験したので報告する。なお個人情報保護のため,症例の細部には若干の変更を加えている。
参考文献
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