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文献詳細

雑誌文献

精神医学51巻2号

2009年02月発行

文献概要

巻頭言

人材育成の場としての大学精神医学教室

著者: 笠井清登1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科精神医学

ページ範囲:P.106 - P.107

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 東京大学医学部精神医学教室の運営に携わり始め,日々の雑事をこなすだけで精一杯ですので,このような欄に寄稿させていただく資格はまだないと自覚しております。自分自身の行動を律するための覚書きと位置づけて執筆させていただき,読まれた方々のご参考に万が一にでもなれば,ということでお許しいただきたいと思います。

 英国Kings Fundは,同国の精神疾患の社会経済コストを年間約10兆円と試算しており1),Nature誌には“Mental wealth of nations”との提言がなされています2)。精神医学の重要性はこうした社会的要請の高まりから明らかですが,日本の精神医学・医療を取り巻く現状は,診療報酬・医師配置の面でも,研究費配分の面でも,きわめて不十分といわざるを得ません。そのうえ,大学の人員削減,法人化後の経営圧力,新研修制度後の若手医師の地域偏在などの波を受け,どの大学精神医学教室も疲弊していると思います。このような厳しい状況の中で,大学精神医学教室に固有の役割である人材育成という軸がぶれないように進めていきたいと考えています。

参考文献

1) http://www.kingsfund.org.uk/publications/kings_fund_publications/paying_the_price.html
2) Beddington J, Cooper CL, Field J, et al:The mental wealth of nations. Nature 455:1057-1060, 2008
3) http://npsy.umin.jp/oshirase/training.html
4) http://www.jbcc.harvard.edu/trainings.htm

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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