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シンポジウム うつ病と自殺に医師はどう対応するのか―医師臨床研修並びに生涯研修における精神科の役割
生涯研修におけるうつ病の診断と自殺防止
著者: 樋口輝彦1
所属機関: 1国立精神・神経センター
ページ範囲:P.373 - P.379
文献購入ページに移動はじめに
自殺は時代を越え,国を越えた人類共通の問題であり,個人の問題であると同時にその時代を映す鏡でもある。すなわち,その時代の経済状況や社会状況と深くかかわっていることは疑いがない。しかし,それだけで説明できるほど単純ではない。なぜなら,自殺の背景として重要とされる要因に,精神疾患があることがよく知られているからである。ここでは,わが国の自殺の現状とこれまでの自殺防止対策に触れたうえで,プライマリ・ケア医あるいは精神科医が自殺防止に果たす役割,うつ病診断の技術の向上,薬物療法を中心とした治療の進め方について総説する。
自殺は時代を越え,国を越えた人類共通の問題であり,個人の問題であると同時にその時代を映す鏡でもある。すなわち,その時代の経済状況や社会状況と深くかかわっていることは疑いがない。しかし,それだけで説明できるほど単純ではない。なぜなら,自殺の背景として重要とされる要因に,精神疾患があることがよく知られているからである。ここでは,わが国の自殺の現状とこれまでの自殺防止対策に触れたうえで,プライマリ・ケア医あるいは精神科医が自殺防止に果たす役割,うつ病診断の技術の向上,薬物療法を中心とした治療の進め方について総説する。
参考文献
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