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文献詳細

雑誌文献

精神医学51巻5号

2009年05月発行

文献概要

研究と報告

社会・経済的要因を抱えた自殺のハイリスク者に対する精神保健的支援の可能性―心理学的剖検研究における「借金自殺」事例の分析

著者: 勝又陽太郎1 松本俊彦12 高橋祥友3 川上憲人4 渡邉直樹5 平山正実6 木谷雅彦1 竹島正12

所属機関: 1国立精神・神経センター精神保健研究所 精神保健計画部 2国立精神・神経センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター 3防衛医科大学校防衛医学研究センター行動科学研究部門 4東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 5青森県立精神保健福祉センター 6聖学院大学総合研究所

ページ範囲:P.431 - P.440

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抄録

 本研究は,1998年以降わが国において増加したとされる社会・経済的要因を背景とした自殺,とりわけ負債を抱えた自殺事例に焦点を当て,心理学的剖検による情報収集で得られた事例に関して探索的な考察を行い,具体的な支援対策の可能性についても検討を行った。そのうえで,自殺の背景に存在する社会・経済的要因に対して,精神保健的観点を含めた専門的支援の連携モデルの構築に寄与する,心理学的剖検データの活用可能性について検討を行った。

参考文献

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16) Simpson SG, Jamison KR:The risk of suicide in patients with bipolar disorders. J Clin Psychiatry 60(Suppl 2):53-56, 1999
17) 吉岡隆:援助者のためのアルコール・薬物依存症Q & A.中央法規出版,pp25-95,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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