ランキング
お知らせ
ログイン
ランキング
お知らせ
ログイン
雑誌詳細
文献概要
特集 精神疾患と睡眠マネージメント―最新の知見
睡眠薬と夜間異常行動
著者： 石郷岡純1
所属機関： 1東京女子医科大学医学部精神医学教室
ページ範囲：P.675 - P.679
はじめに
現在，睡眠薬として使用されている薬物はほとんどがベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZ)である。かつてのバルビツール酸系睡眠薬の時代とは異なり，不眠治療はきわめて安全に行えるようになり，精神科医以外の医師にも広く使用される薬剤となった。BZの優れた薬効と安全性の高さからもたらされる高い有用性は，不眠症患者に対して，いくら強調してもしつくせないほどの大きな貢献を果たしてきた。しかし，安全性では定評のあるBZでも副作用が皆無ではなく，睡眠薬を上手に使用するには，その副作用を正確に把握しておくことがポイントである。
ひとくちに睡眠薬による行動の障害といっても，その内容は多彩である。また，報告者の関心のあり方によって，類似の現象であっても記載方法がまちまちなので，その全貌を把握することは案外困難である。さらに，夜間に生じる行動の障害とはいっても，単純に睡眠薬の服用後であるという意味でしかないのか，睡眠や概日リズムと関連した現象であるのかも不明なものが多い。このように，十分に医学的な検討を行うには制限のある領域ではあるが，臨床家にとっては「睡眠薬服用後に起こる行動の障害」を包括的に概観しておくことによって，睡眠障害の治療を効果的に進めていくために有用な視点が提供されることも事実であろう。本稿では睡眠薬服用時にみられる夜間の異常行動について概観することとする。
現在，睡眠薬として使用されている薬物はほとんどがベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZ)である。かつてのバルビツール酸系睡眠薬の時代とは異なり，不眠治療はきわめて安全に行えるようになり，精神科医以外の医師にも広く使用される薬剤となった。BZの優れた薬効と安全性の高さからもたらされる高い有用性は，不眠症患者に対して，いくら強調してもしつくせないほどの大きな貢献を果たしてきた。しかし，安全性では定評のあるBZでも副作用が皆無ではなく，睡眠薬を上手に使用するには，その副作用を正確に把握しておくことがポイントである。
ひとくちに睡眠薬による行動の障害といっても，その内容は多彩である。また，報告者の関心のあり方によって，類似の現象であっても記載方法がまちまちなので，その全貌を把握することは案外困難である。さらに，夜間に生じる行動の障害とはいっても，単純に睡眠薬の服用後であるという意味でしかないのか，睡眠や概日リズムと関連した現象であるのかも不明なものが多い。このように，十分に医学的な検討を行うには制限のある領域ではあるが，臨床家にとっては「睡眠薬服用後に起こる行動の障害」を包括的に概観しておくことによって，睡眠障害の治療を効果的に進めていくために有用な視点が提供されることも事実であろう。本稿では睡眠薬服用時にみられる夜間の異常行動について概観することとする。
参考文献
edition：Diagnostic and coding manual. Westchester, IL, 2005
2) Chiang A, Krystal A：Report of two cases where sleep related eating behavior occurred with the extended-release formulation but not the immediate-release formulation of a sedative-hypnotic agent. J Clin Sleep Med 15：155-156, 2008
3) Dolder CR, Nelson MH：Hypnosedative-induced cpmplex behaviors. Incidence, mechanisms and management. CNS Drugs 22：1021-1036, 2008
4) Goulle JP, Anger JP：Drug-facilitated robbery or sexual assault. Ther Drug Monit 26：206-210, 2004
5) Hall RCW, Zisook S：Paradoxical reactions to benzodiazepines. Br J Clin Pharmacol 11：99S-104S, 1981
6) 石郷岡純：ベンゾジアゼピンと常用量依存．治療学 28：1005-1008, 1994
7) 石郷岡純：ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用と処方上の留意点．松下正明 総編集，太田達朗，大川匡子 責任編集，臨床精神医学講座13 睡眠障害．中山書店，pp148-158，1999
8) Khan LC, Lustik SJ：Treatment of a paradoxical reaction to midazolam with haloperidol. Anesth Analg 85：213-215, 1997
9) Lonergran E, Luxenberg J, Arerosa Sastre A, et al：Benzodiazepines for delirium. Cochran Database Syst Rev 21：CD006379, 2009
10) Mendelson WB：Sleepwalking associated with zolpidem. J Clin Psychopharmacol 14：150, 1994
11) Menkes DB：Triazolam-induced nocturnal bingeing with amnesia. Aust NZ J Psychiatry 26：320-321, 1992
12) 村崎光邦：短時間作用型睡眠薬の動向―triazolam storyを通して．精神医学レビュー 4：80-92，1992
13) Najjar M：Zolpidem and amnestic sleep related eating disorder. J Clin Sleep Med 15：637-638, 2007
14) Robin C, Triger N：Paradoxical reactions to benzodiazepines in intravenous sedation：A report of 2 cases and review of the literature. Aneth Prog 49：128-132, 2002
15) Sansone RA：Zolpidem, somnambulism, and nocturnal eating. Gen Hosp Psychiatry 30：90-91, 2008
16) Schenck CH, Hurwitz TD, Bundlie SR, et al：Sleep-related eating disorders：Polysomnographic correlates of a heterogenous syndrome distinct from daytime eating disorders. Sleep 14：419-431, 1991
17) Schopf J：Withdrawal phenomenon after long-term administration of benzodiazepines：A review of recent investigations. Pharmacopsychiat 16：1-8, 1983
18) Sharma A, Dewan VK：A case report of zolpidem-induced somnambulism. Prim Care Companion J Clin Psychiatry 7：74, 2005
19) Thakker P, Gallagher TM：Flumazenil reverses paradoxical reaction to midazolam in a child. Anaesth Intens Care 24：505-507, 1996
20) Thakker P, Gallagher TM：Flumazenil reverses paradoxical reaction to midazolam in a child. Anaesth Intens Care 24：505-507, 1996
21) 辻誠一，倉田健一，藤川徳美：Zolpidemに誘発された睡眠関連摂食障害．精神科治療学 22：1169-1172，2007
22) U.S. Food and Drug Administration：FDA requests label change for all sleep disorder drug products. 2007(http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2007/NEW01587.html)
23) van der Kroef C：Reactions to triazolam. Lancet 2：526, 1979
掲載雑誌情報
