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文献詳細

雑誌文献

精神医学51巻7号

2009年07月発行

私のカルテから

心因性失声症に解決志向型アプローチが有効であった1症例

著者: 正木大貴1 中富康仁2 土田英人1 福居顯二1

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学 2明石市立市民病院心療内科精神科

ページ範囲:P.693 - P.695

文献概要

はじめに

 発声に関する器官に原因となる器質的な異常を認めないにもかかわらず,発声ができない状態を機能性発声障害という。その中には発症や症状の経過に心因的な背景が関与しているであろうと推測されるものが多く,それを特に心因性失声症と呼ぶ。心因性失声症に関する報告は,精神科領域4~6)や耳鼻咽喉科7,8)からのものが散見されるが,あまり数は多くない。一方,解決志向型アプローチはブリーフセラピー1)の1つで,問題の原因を追求して解決を目指すのではなく,今の状態とは違ったより良い新しい状態を構築することを目指すものである1,3)。我々は今回,心因性失声症患者で,解決志向型アプローチが有効であった症例を経験したので報告する。

参考文献

1) de Shazer S著,小野直広 訳:短期療法解決の鍵.誠信書房,1994
2) 宮田敬一 編:ブリーフセラピー入門.金剛出版,1994
3) 森俊夫,黒沢幸子:解決志向ブリーフセラピー.ほんの森出版,2002
4) 中井隆,門矢規久子,森地明子,他:心因性発声障害の一例.済生会中津年報 9:133-137,1999
5) 斎藤信太郎:解離性運動障害(心因性失声症)の3例.精神科治療学 14:1119-1128,1999
6) 杦浦孝宗,保田佳苗,岩上芳,他:多彩な症状変遷の中で心因性失声を呈した1例.心療内科 5:272-276,2001
7) 矢野純:心因性失声症の治療について.日耳鼻会報 90:852-859,1987
8) 矢野純:心因性失声症の治療.心療内科 2:154-159,1998
9) Watzlawick P,Fisch R,Weakland J 著,長谷川啓三 監訳:りぶらりあ選書 変化の原理―問題の形成と解決.法政大学出版局,1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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