文献詳細
文献概要
「精神医学」への手紙
少年の裁判員裁判と精神医学の役割―模擬裁判の経験から
著者: 高岡健1 川村百合2
所属機関: 1岐阜大学医学部精神病理学分野 2日弁連子どもの権利委員会
ページ範囲:P.814 - P.815
文献購入ページに移動事例は,広汎性発達障害を有する犯行時18歳の少年が,タクシー運転手を刺して死亡させ,現金を奪った強盗致死事件である。検察官は無期懲役を求刑し,弁護人は保護処分相当として,家庭裁判所への移送(いわゆる55条移送)を求めた。評議における裁判員と裁判官の判断は,当初9名中1名のみが保護処分相当であり,残りが刑事処分相当であった。続く刑事処分のうち何を選択すべきかについての評議では,無期懲役刑を選択すべきとしたものが1人,有期とすべきとしたものが8人であった。最終的には,9名中5名が5年以上10年以下,4名が5年以上7年以下の不定期刑と判断し,わずか1名の差で前者の判決が少年に下された。
参考文献
掲載誌情報