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文献詳細

雑誌文献

精神医学51巻8号

2009年08月発行

文献概要

「精神医学」への手紙

少年の裁判員裁判と精神医学の役割―模擬裁判の経験から

著者: 高岡健1 川村百合2

所属機関: 1岐阜大学医学部精神病理学分野 2日弁連子どもの権利委員会

ページ範囲:P.814 - P.815

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 少年事件であっても一定の重大事件は,家庭裁判所から検察官送致がなされ起訴されれば,裁判員制度の対象となる。裁判員制度の開始を目前に控えて,少年刑事裁判の模擬裁判が,東京地方裁判所で行われた。この模擬裁判に,第2筆者(Y.K.)は,弁護人役として関与し,第1筆者(K.T.)は,弁護人からの依頼で私的鑑定を行った精神科医役として関与した。

 事例は,広汎性発達障害を有する犯行時18歳の少年が,タクシー運転手を刺して死亡させ,現金を奪った強盗致死事件である。検察官は無期懲役を求刑し,弁護人は保護処分相当として,家庭裁判所への移送(いわゆる55条移送)を求めた。評議における裁判員と裁判官の判断は,当初9名中1名のみが保護処分相当であり,残りが刑事処分相当であった。続く刑事処分のうち何を選択すべきかについての評議では,無期懲役刑を選択すべきとしたものが1人,有期とすべきとしたものが8人であった。最終的には,9名中5名が5年以上10年以下,4名が5年以上7年以下の不定期刑と判断し,わずか1名の差で前者の判決が少年に下された。

参考文献

1) 川村百合:少年の裁判員裁判の問題点と解決策を考える.自由と正義 59:84-93,2008
2) 川村百合:少年法55条移送を目指した活動―殺人および激発物破裂被告事件(板橋事件).季刊 刑事弁護 56:84-88,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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