文献詳細
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多飲水と水中毒とを頻回に繰り返す症例―キンドリングの視点から見た治療
著者: 柿本泰男1 山本由紀1
所属機関: 1財団法人創精会 松山記念病院
ページ範囲:P.917 - P.920
文献概要
統合失調症,特に慢性期の患者における水中毒は,頻度も高く治療法も確定されず,危険な症状である。統合失調症における水中毒の記載は1933年のHoskinsとSleeper3)に始まるが,抗精神病薬の導入以来,その長期使用によって頻度も増し,精神科入院患者の3~40%が多飲水,1~6%が水中毒とde Leonら1)は発表している。水中毒の原因は統合失調症の病態そのものという考えもあるが,やはり抗精神病薬の長期使用によるという考えのほうが強い5,6)。
水中毒は,大量の水分摂取の結果低ナトリウム血症となり,意識障害,全身けいれん発作が起こる,生命に危険な現象である。多飲水の機構は不明であるが発作的に繰り返し,時を経るにしたがって頻度が増すことから,筆者らはてんかん発作におけるキンドリング現象と似ていることに着目した。頻回の多飲水が成立するまで数年はかかるが,ある患者ではいったん起こると引き続いて起こり,頻度が増加する。そして筆者らはキンドリング現象の中断9)に有効であるcarbamazepine(CBZ)を使用したところ,繰り返して起こる多飲水発作は抑止された。
参考文献
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