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研究と報告
アスペルガー症候群の学齢児に対する社会参加支援の新しい方略―共通の興味を媒介とした本人同士の仲間関係形成と親のサポート体制づくり
著者: 日戸由刈1 萬木はるか1 武部正明1 本田秀夫1
所属機関: 1横浜市総合リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.1049 - P.1056
文献購入ページに移動本研究は,アスペルガー症候群(AS)の学齢児に対して仲間づくりを支援するプログラム開発を目的とする。方法として,生活拠点の近いメンバーで構成された4名の小集団に対して,AS特有の興味に沿った課題設定を通じてSSTを行い,仲間関係の形成を図った。指導場面で形成された仲間関係を日常場面で維持するために,親支援を通じたサポート体制づくりを図った。開発したプログラムを25クラス100組の親子に実施した結果,参加した子どものほとんどが指導場面で「同じメンバーでまた集まりたい」とコメントした。56名は日常場面で親のサポートも得て同じメンバー同士の集いを行っており,そのうち28名は3年以上にわたって関係を維持していた。一方,親のサポートなしで本人同士が連絡を取り合って集いを行ったのはわずか4名であり,その関係は1年未満で途絶えた。青年期以降の長期的な効果と限界についての検討が,今後の課題である。
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