文献詳細
短報
抗精神病薬の長期使用による水中毒3症例の治療の試み―キンドリングの視点から(第2報)
著者: 柿本泰男1
所属機関: 1財団法人創精会松山記念病院
ページ範囲:P.1103 - P.1106
文献概要
多飲水は抗精神病薬を長期使用中の患者にしばしばみられ1),しかも治療困難な副作用である。その機序はいまだ不明であるが,柿本と山本3)はその現象が,何年かにわたる多量の飲水行動が習慣的に固定し,発作的に頻発するようになるのではないかと考えた。その機序をキンドリングに似た現象と考えた。飲水量が特に多いとき,著しい低Na血症となり,意識障害,浮腫,けいれんなどが起こり,水中毒とよばれる。柿本と山本3)は多飲水を繰り返す患者1例に,キンドリング現象に有効とされるcarbamazepine(CBZ)を投与し,多飲水発作の抑制に有効であることを見いだし,報告した。1例の患者での試みでは,一般的に多飲水にCBZが有効であると結論づけることはできない。本論文では,先に報告した症例のその後の経過と,その後新たに開始した2症例の治療結果について報告する。いずれの症例でも,繰り返す多飲水にCBZが有効であることを認めた。
参考文献
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