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短報
精神病様症状を呈した抗NMDA受容体脳炎の1例
著者: 筒井幸1 大内東香2 手島和暁3 徳永純1 石黒英明2 西成民夫3 武村史1 森朱音1 神林崇1 清水徹男1
所属機関: 1秋田大学大学院医学系研究科医学専攻病態制御医学系精神科学 2秋田赤十字病院神経内科 3由利組合総合病院内科
ページ範囲:P.1107 - P.1109
文献購入ページに移動最近,抗NMDA(N-メチルD-アスパラギン酸)受容体抗体に関連した脳炎(以下,抗NMDA受容体脳炎と略する)が,初期に精神病様症状を呈することが知られるようになってきている。抗NMDA受容体脳炎は若年女性に好発し,しばしば卵巣奇形腫を伴う自己免疫性脳炎である。頭痛などの感冒症状で発症し,経過中に妄想様の言動やカタトニー様症状など精神病様症状を呈することが多い。このため当初は精神疾患とみなされ,多くの症例が精神科に受診,入院する。その後,けいれん発作や意識レベルの低下,中枢性の低換気,不随意運動,多彩な自律神経症状などを生じ,脳炎であることが明らかになる。今回,精神疾患を疑われ精神科を初診し,後に抗NMDA受容体脳炎と診断された1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。なお,本人のプライバシー保護のため,病歴の一部を改編している。
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