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文献詳細

雑誌文献

精神医学52巻12号

2010年12月発行

文献概要

研究と報告

少年鑑別所における自習ワークブックを用いた薬物再乱用防止プログラムの試み―重症度による介入効果の相違に関する検討

著者: 松本俊彦12 千葉泰彦3 今村扶美4 小林桜児14 和田清1

所属機関: 1独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所薬物依存研究部 2独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所自殺予防総合対策センター 3横浜少年鑑別所 4独立行政法人国立精神・神経医療研究センター病院

ページ範囲:P.1161 - P.1171

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抄録

 少年鑑別所に入所する薬物乱用者46名に対し,我々が開発した再乱用防止のための自習ワークブック「SMARPP-Jr.」を実施し,介入前後の評価尺度上の変化から,薬物問題の重症度と介入効果の相違について検討した。その結果,ワークブックの実施により,軽症群では,問題意識の深まりと治療動機の高まりを示唆する評価尺度上の変化がみられたが,薬物欲求に抵抗できる自信については変化がみられなかった。一方,重症群では,薬物欲求に抵抗できる自信の高まりを示唆する評価尺度の変化がみられたが,問題意識の深まりや治療動機の高まりを示唆する変化は認められなかった。自習ワークブックは簡便かつ一定の効果が見込める介入方法といえるが,重症薬物乱用者に対しては,地域における継続した支援体制が必要と考えられた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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