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文献詳細

雑誌文献

精神医学52巻12号

2010年12月発行

研究と報告

精神疾患の復職支援要因の分析―地方公務員復職者に対するアンケート調査の結果

著者: 塩崎一昌12 池田英二13 池田東香1 平安良雄1

所属機関: 1公立大学法人横浜市立大学医学部精神医学 2現・横浜市総合保健医療センター 3富山県厚生部

ページ範囲:P.1181 - P.1190

文献概要

抄録

 神奈川県下のある自治体において,精神疾患による長期休職後に復職した職員127名を対象に,復職に影響した支援についてアンケート調査を実施した。休職期間の前後で,職場の変化や制度的な事柄,受診状況などについて質問した。調査の結果,95名から回答が得られた。復職に役立った支援として,慣らし勤務,業務内容への配慮,上司の共感,業務量への配慮が多く選択されていた。また,復職後には職場での病気への理解は改善したと感じられていた。業務量の軽減や業務内容の変更は,ベック抑うつ質問票(BDI-Ⅱ)による抑うつ度の低下と相関していた。復職後の異動希望については,回答者の99%が配慮の必要性を認めていた。主治医への満足度は高かったが,満足度の高さは,BDI-Ⅱによる抑うつ度の高さと相関していた。

参考文献

1) 後藤牧子,上田展久,吉村玲児,他:Social Adaptation Self-evaluation Scale(SASS)日本語版の信頼性および妥当性.精神医学 47:483-489,2005
2) 飯森眞喜雄:Ⅳ-6職域におけるうつ病の再発予防―復職後6ヶ月以内に再発した事例研究を通して.加藤正明(班長).労働の場におけるストレス及びその健康影響に関する研究報告書・労働省平成9年度「作業関連疾患の予防に関する研究」.pp202-209,1998
3) 池田英二,塩崎一昌,池田東香,他:神奈川県内の公務員における抑うつ傾向に影響する勤務状況と職務内容.神奈川精医会誌 57:3-9,2008
4) 北川信樹,賀古勇輝,渡邉紀子,他:うつ病患者の復職支援の取り組みとその有効性.Jpn J Psychosom Med 49:123-131,2009
5) 厚生労働省:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き.平成21年3月23日改訂版,2009
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7) 菅原誠,福田達矢,野津眞,他:「復職できるうつ」と「復職が困難なうつ」.精神医学 49:787-796,2007
8) 山本貢司,村松英哉,横田安奈,他:復職準備をするうつ病休職者の認知的な反芻・省察と不安・抑うつとの関連.神奈川精神医会誌 58:19-25,2009
9) 財団法人地方公務員安全衛生推進協会:地方公務員健康状況等の現況.地方公務員安全推進協会,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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