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雑誌文献

精神医学52巻12号

2010年12月発行

文献概要

資料

精神科思春期外来を受診した高機能広汎性発達障害の臨床的検討

著者: 武井明1 鈴木太郎2 天野瑞紀1 松尾徳大3 目良和彦1 宮崎健祐4 平間千絵5 佐藤譲1 原岡陽一1

所属機関: 1市立旭川病院精神科 2旭川泉圭会病院 3メイプル病院 4東京都立小児総合医療センター 5旭川福祉専門学校

ページ範囲:P.1213 - P.1219

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はじめに

 広汎性発達障害(pervasive developmental disorders,以下,PDDと略)は,社会性の障害,コミュニケーションの障害,想像力の障害とそれに基づく固執傾向を主症状とする発達障害の総称で,その中で知的障害を伴わない者は高機能広汎性発達障害(high-functioning pervasive developmental disorders,以下,HFPDDと略)と呼称されている7)。近年,精神科外来または発達障害の専門外来を受診するHFPDD患者の中に,PDDの基本障害から二次的に派生したさまざまな精神症状や問題行動,いわゆる二次障害を呈して受診する者が少なくないことが指摘されるようになったが6,12),その実態を検討した報告は少ない3~5,7,11)

 今回我々は,精神科思春期外来を受診したHFPDDについての臨床的検討を行い,二次障害が認められるHFPDD患者の特徴を明らかにしたので報告する。

参考文献

1) American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Edition, Text Revision. Washington DC, American Psychiatric Association, 2000 (高橋三郎,大野裕,染矢俊幸 監訳:DSM-Ⅳ-TR精神疾患の診断・統計マニュアル(改訂版).医学書院,2004)
2) 浅井朋子,杉山登志郎:不登校.小児科臨床 57(増刊):1501-1507,2004
3) 舟橋敬一,直井高歩,宮尾益知,他:国立成育医療センターを受診した広汎性発達障害児の精神科的合併症.第50回日本児童青年精神医学会総会抄録集,p361,2009
4) 星野仁彦,佐藤祐貴,大島典子,他:思春期・青年期に至るまで診断・治療のなされなかった高機能自閉症・アスペルガー症候群の合併についての検討.第46回日本児童青年精神医学会総会抄録集,p163,2005
5) 成田有里,黒田舞,森秀都:発達障害と関連する二次的な問題―10年間を通して.埼玉小児医療センター医学誌 24:158-164,2008
6) 齊藤万比古 編著:発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート.学習研究社,2009
7) 杉山登志郎:高機能広汎性発達障害に見られるさまざまな精神医学的問題に関する臨床的研究.乳幼医・心理研 12:11-25,2003
8) 高橋脩:アスペルガー症候群・高機能自閉症:思春期以降における問題行動と対応.精神科治療学 19:1077-1083,2004
9) 武井明,宮崎健祐,目良和彦,他:不登校を呈した高機能広汎性発達障害の臨床的検討.精神医学 51:289-294,2009
10) 十一元三,天野玉記:発達障害と攻撃性・反社会的行動.本間博彰,小野善郎 編,子どもの心の診療シリーズ7.子どもの攻撃性と破壊的行動障害.pp100-112,中山書店,2009
11) 山口葉月,小林純,飯島佳路,他:茨城県内の児童思春期精神科外来を受診した広汎性発達障害の主訴.第49回日本児童青年精神医学会総会抄録集,p208,2008
12) 吉川徹:二次障害.日本臨牀 65:464-469,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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