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文献詳細

雑誌文献

精神医学52巻12号

2010年12月発行

文献概要

私のカルテから

著明な認知機能低下を初発症状とし,MRI画像をきっかけにしてHIV脳症と診断された1例

著者: 志賀弘幸1 根本清貴2 井口俊大1 高橋卓巳3 今井公文3 人見重美4 栗原陽子4 水上勝義2 朝田隆2

所属機関: 1筑波大学附属病院精神神経科 2筑波大学大学院人間総合科学研究科精神病態医学 3国立国際医療センター戸山病院 4筑波大学附属病院感染症内科

ページ範囲:P.1225 - P.1227

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はじめに

 本邦におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者数は年々増加し,今後も増加するものと考えられている4)。近年,HIV感染症の治療にウイルス複製過程を阻害する薬を併用するHAART療法(highly active anti-retroviral therapy)が行われるようになり,HIV感染症患者の生命予後が著明に改善している2)。本邦でも,国立国際医療センター戸山病院で2007年4月~2009年3月の2年間にエイズ治療・研究開発センターより精神科へ診察依頼があったHIV感染症患者86例のうち,HIV脳症は2例にとどまる。しかし,HIV感染症自体が拡大し,HIVは頻繁に変異を繰り返すことから,HIV脳症自体は今後再び増えていく可能性がある。今回我々は,著明な認知機能低下を認め,MRI画像所見がきっかけとなってHIV脳症と診断されるに至った症例を経験した。HIV脳症をみる頻度が減少している中,貴重な症例と考えられたため報告する。なお,個人情報保護の点から細部を改変している。

参考文献

1) 橋本里奈,向井栄一郎,横幕能行,他:HIV脳症5例の臨床的特徴と経過.臨床神経 48:173-178,2008
2) 平成20年度厚生労働省科学研究費補助金エイズ対策研究事業 HIV感染症の医療体制の整備に関する研究班:抗HIV治療ガイドライン.厚生労働省,pp10-15,2009
3) 岸田修二:エイズ脳症.精神科治療学 24:1329-1334,2009
4) 厚生労働省エイズ動向委員会:平成20年エイズ発生動向年報.厚生労働省,2009
5) Sharer LR:Pathology of HIV-1 infection of the central nervous system. A review. J Neuropathol Exp Neurol 51:3-11, 1992
6) 土屋一洋:AIDSに関連する頭蓋内病変の画像診断.No To Shinkei 56:291-298,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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