文献詳細
文献概要
私のカルテから
著明な認知機能低下を初発症状とし,MRI画像をきっかけにしてHIV脳症と診断された1例
著者: 志賀弘幸1 根本清貴2 井口俊大1 高橋卓巳3 今井公文3 人見重美4 栗原陽子4 水上勝義2 朝田隆2
所属機関: 1筑波大学附属病院精神神経科 2筑波大学大学院人間総合科学研究科精神病態医学 3国立国際医療センター戸山病院 4筑波大学附属病院感染症内科
ページ範囲:P.1225 - P.1227
文献購入ページに移動本邦におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者数は年々増加し,今後も増加するものと考えられている4)。近年,HIV感染症の治療にウイルス複製過程を阻害する薬を併用するHAART療法(highly active anti-retroviral therapy)が行われるようになり,HIV感染症患者の生命予後が著明に改善している2)。本邦でも,国立国際医療センター戸山病院で2007年4月~2009年3月の2年間にエイズ治療・研究開発センターより精神科へ診察依頼があったHIV感染症患者86例のうち,HIV脳症は2例にとどまる。しかし,HIV感染症自体が拡大し,HIVは頻繁に変異を繰り返すことから,HIV脳症自体は今後再び増えていく可能性がある。今回我々は,著明な認知機能低下を認め,MRI画像所見がきっかけとなってHIV脳症と診断されるに至った症例を経験した。HIV脳症をみる頻度が減少している中,貴重な症例と考えられたため報告する。なお,個人情報保護の点から細部を改変している。
参考文献
掲載誌情報