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「第14回日本神経精神医学会」印象記
著者: 上村直人1
所属機関: 1高知大学精神医学
ページ範囲:P.198 - P.199
文献購入ページに移動 第14回日本神経精神医学会が,2009年11月5~6日の2日間,東北大学高次脳機能障害学の森悦朗会長のもと,仙台国際ホテルで開催された。一般演題は28演題で,その他教育講演6演題と,シンポジウム,イブニングセミナー,ランチョンセミナーと全体的にはいずれも学術的な内容が多かった。大会初日には,一般演題として前頭側頭型認知症関連,パーキンソン病関連が各6題あり,教育講演1として国立障害者リハビリテーションセンター病院の深津玲子先生が「高次脳機能障害」と題して主として遂行機能障害の見方について,また教育講演2では大阪大学精神科の数井裕光先生が「iNPHの認知障害と精神症状」としてNPHとアルツハイマー病とのBPSD比較,多施設共同研究(SINPHONI)の紹介について講演をなされた。午後の「PD/DLBの認知・行動障害」のシンポジウムでは,「Dopamine dysregulation syndrome」(東北大学神経内科,武田篤先生),「正直なPD~嘘をつかないのか,つけないのか~」(東北大学高次脳機能障害学,阿倍修士先生),「PDの認知機能障害」(昭和大学神経内科,河村満先生),「PDの視覚認知障害」(山形県立保健医療大学,平山和美先生),「DLBの幻視・視覚認知障害について」(秋田県立リハビリテーション・精神医療センター,下村辰雄先生),「DLBの視覚性認知障害の病態機序」(順天堂大学,井関栄三先生)といったそれぞれのエキスパートによるパーキンソン病やレビー小体型認知症に関する認知機能や幻視などの精神症状,社会的認知機能などさまざまな視点からのシンポジストの研究や話題が提供され圧巻であった。またイブニングセミナーでは,「レビー小体型認知症の診断と治療:現状と将来」と題して,金沢大学脳老化・神経病態学の山田正仁先生による,診断基準の問題や画像研究,神経病理,および薬物治療といったDLBに関する現状と日本からのDLBに対する貢献の可能性についての統合的な講演があった。大会2日目には,一般演題では高次脳機能障害関連,アルツハイマー病関連,器質性精神疾患関連といった初日同様,内容の濃い一般演題に加え,教育講演3では筆者が「認知症者と自動車運転」について講演し,教育講演4では東北大学高次脳機能障害学の藤井俊勝先生が「記憶障害のみかた」として,記憶について高度ながらもわかりやすい内容の講演をされた。教育講演5では熊本大学大学院神経精神医学の池田学先生が「FTDの行動異常」と題して,FTDの診断基準の歴史的背景や症候学をわかりやすく,具体例を挙げながら解説し,薬物治療や非薬物療法であるルーチン化療法といった長年の研究の集大成ともいうべき内容を紹介された。教育講演6では愛媛大学脳とこころの医学の小森憲治郎先生が「意味記憶障害の現れ方」と題して,映像を交えながら具体的な意味記憶障害の症候学のみかたと意味記憶と側頭葉の役割や神経ネットワークについての話題を提供された。
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