icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学52巻3号

2010年03月発行

文献概要

研究と報告

抑うつと特性不安から見た小中学生の精神的健康の構造的検討

著者: 谷伊織1 吉橋由香2 神谷美里2 宮地泰士2 野村香代2 伊藤大幸3 辻井正次4

所属機関: 1三重大学大学院医学系研究科 2浜松医科大学子どものこころの発達研究センター 3名古屋大学大学院教育発達科学研究科 4中京大学現代社会学部

ページ範囲:P.265 - P.273

文献購入ページに移動
抄録

 わが国の子どもの抑うつについては,いまだに十分な実態が明らかになっていない。そこで,本研究では小中学生における抑うつの実態を検討することを目的とし,調査協力市の全小中学校の小学3年生~中学2年生4,688名を対象に,抑うつ状態,特性不安に関する質問紙全数調査を行った。その結果,評価尺度であるDSRS-Cが2因子構造を持つことを確認し,抑うつ状態のうち,「活動性および楽しみの減退」の側面が,学年が上がるにつれて高くなることを示した。また,先行研究と同様に,一般的な小・中学生の中に抑うつ状態を示す子どもたちが少なからず存在することが把握された。

参考文献

1) Birleson P:The validity of depression disorders in childhood and the development of a self-rating scale:A research report. J Child Psychol Psychiatry 22:73-88, 1981
2) Blos P:The second individuation process of adolescence. Psychoanal Study Child 22:162-186, 1967
3) Cronbach LJ:Studies of acquiescence as a factor in the true-false test. J Educ Psychol 33:401-415, 1942
4) 傳田健三,賀古勇輝,佐々木幸哉,他:小・中学生の抑うつ状態に関する調査―Birleson自己記入式抑うつ評価尺度(DSRS-C)を用いて.児童精医と近接領域 45:424-436, 2004
5) Edwards AL:The social desirability variable in personality assessment and research. The Dryden Press, New York, 1957
ed. Oxford, Blackwell, pp330-350, 1994
7) 黒田祐二,桜井茂男:子どもの抑うつ研究の概観.筑波大学心理学研究 23:129-138, 2001
8) 松尾祐作:児童期・青年期における不安傾向.福岡教育大学紀要 34:153-158, 1984
9) 村田豊久:小児期のうつ病.臨精医 22:557-563, 1993
10) 村田豊久,清水亜紀,森陽二郎,他:学校における子どものうつ病―Birlesonの小児期うつ病スケールからの検討.最新精神医学 1:131-138, 1996
11) 中村多見:子どもの不安傾向に関する発達的研究.広島大学心理学研究 1:129-137, 2001
12) 二宮英彰:不安と抑うつの共存―最近の話題と今後の展望.心身医学 37:247-252, 1997
13) 佐藤寛:子ども用抑うつ自己評価尺度(DSRS)の因子構造の検討と標準データの構築.筑波大学発達臨床心理学研究 14:85-91, 2002
14) 佐藤寛,下津咲絵,石川信一:一般中学生におけるうつ病の有病率―半構造化面接を用いた実態調査.精神医学 50:439-448, 2008
15) 曽我祥子:日本版STAIC標準化の研究.心理学研究 54:215-221, 1983

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら