文献詳細
短報
Blonanserinへの切り替えにより心不全徴候を伴う頻脈が改善した統合失調症の1例
著者: 河邉憲太郎1 松岡崇人1 細田能希1 上野修一2
所属機関: 1医療法人佑心会堀江病院 2愛媛大学大学院医学系研究科 脳・神経病態制御医学講座 脳とこころの医学
ページ範囲:P.285 - P.288
文献概要
本邦では1955年に統合失調症に対する治療薬として抗精神病薬chlorpromazineが発売されて以後,さまざまな抗精神病薬が発売され,統合失調症の薬物治療は多彩となった。2009年現在,本邦では非定型抗精神病薬として用いることができる薬物が6種類発売されており,その単剤治療の有用性が次々と報告されている。その理由として,非定型抗精神病薬は,定型抗精神病薬と比べ,錐体外路症状などをはじめさまざまな副作用の出現頻度が低いため抗パーキンソン病薬の併用が不要になる,従来の定型抗精神病薬に比較して陰性症状や感情障害,認知障害に対しての効果が期待できる,などの利点があるからである。今回,haloperidolが原因と考えられる心不全徴候を伴う頻脈が,主剤をblonanserinに切り替えることにより改善した統合失調症の1例を経験した。若干の考察を加え報告する。
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