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文献詳細

雑誌文献

精神医学52巻5号

2010年05月発行

「精神医学」への手紙

「認知症のないレビー小体型認知症はあり得るか?―レビー小体病の診断への懸念と提案」についての上田氏の意見への返信

著者: 小阪憲司1

所属機関: 1横浜ほうゆう病院

ページ範囲:P.518 - P.519

文献概要

 上田氏の意見はごもっともと思います。レビー小体型認知症という名称がついているのですから,認知症がなければそうは診断できないということは当たり前です。そもそもレビー小体型認知症という名前がよくないのです。これについては,1995年のイギリスでの第1回国際ワークショップのときに議論がありました。私が提唱した「びまん性レビー小体病diffuse Lewy body disease(DLBD)」や「Kosaka's disease」という声も挙がったのですが,McKeithやBurnなどイギリスの参加者の意見が優勢で「dementia with Lewy bodies(DLB)」ということになったのです。このときの私の講演のタイトルは「Diffuse Lewy body disease within the spectrum of Lewy body disease」であり,1980年に私が提唱したLewy body diseaseや1984年のDLBDの概念を述べたのですが,この私の考えは当時はあまり受け入れられなかったようです。それにもかかわらず,DLBの病型分類には私の概念が受け入れられて,3型が分類されました。私の考えが受け入れられるようになったのは,私が提唱して25年も後の2005年の第3回国際ワークショップ(イギリス)の報告と2006年のLippaらが主催した国際ワーキンググループ(アメリカ)の報告においてであり,今では私が主張してきたようにパーキンソン病や認知症を伴うパーキンソン病,DLBを含めてLewy body diseaseと総称するということになりました。DLBという名称がよくないということはその後もよく言われますが,このDLBという病名が国際的に広く行きわたっているので,これを変えるわけにはいかないのです。DLBDとしておけば,認知症の有無にこだわることはないのですが。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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