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「精神保健医療福祉の改革ビジョン」における「退院率」の定義に関する注意点
著者: 河野稔明1 白石弘巳2 立森久照1 竹島正1
所属機関: 1独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 精神保健計画部 2東洋大学ライフデザイン学部 生活支援学科
ページ範囲:P.583 - P.589
文献購入ページに移動厚生労働省は,2004(平成16)年9月に精神保健福祉対策本部報告書「精神保健医療福祉の改革ビジョン」3)(以下,改革ビジョン)を公表し,「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的な方策を推し進めていくため,国民各層の意識の改革や,立ち後れた精神保健医療福祉体系の再編と基盤強化を以後10年間で進めることとした。改革ビジョンには,具体的な達成目標として,「各都道府県の退院率(1年以上群)を29%以上とする」と明記されている。退院率(1年以上群)とは,精神科に長期間在院している患者の動態に関する指標であり,精神科に入院した患者の短期的な動態の指標である「平均残存率(1年未満群)」とともに,精神科病院の患者動態の評価に使用されている。退院率(1年以上群)は,1年以上在院している患者を長期在院者とみなすことから「(1年以上群)」という語句が含まれているが,以下では単に「退院率」と称する。
退院率は改革ビジョンの達成目標に挙げられた重要な指標であるが,これを用いるにあたってはその定義に注意する必要があると考えられるため,本稿で論じることとする。
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