文献詳細
展望
文献概要
はじめに
2010年2月9日,ウェブ上においてDSM-5草案の公開が始まった1)。これはDSM-5実行委員会によれば,情報公開の点から「非常に画期的」なことであり,実際に完成前の段階で草案を公開し,またそれについてあらゆる層からの意見を求める姿勢はこれまでのDSM作成プロセスとは一線を画すものである。Wall Street Journal,New York Times,Washington Postなどの有力紙もこの流れに注目しており,大きく取り上げている。
わが国においてDSMは,行政や保険業務,疾病統計などではICDを使用することになっているため公的には用いられていないものの,精神医学と心理学の領域では臨床および研究における診断分類システムとして広く使われているため,DSM-5のもたらす影響は決して小さなものではない。今回の草案は日本語版では提供されていないため,本稿ではその概要を今後検討すべき課題と絡めて紹介してみたい。
2010年2月9日,ウェブ上においてDSM-5草案の公開が始まった1)。これはDSM-5実行委員会によれば,情報公開の点から「非常に画期的」なことであり,実際に完成前の段階で草案を公開し,またそれについてあらゆる層からの意見を求める姿勢はこれまでのDSM作成プロセスとは一線を画すものである。Wall Street Journal,New York Times,Washington Postなどの有力紙もこの流れに注目しており,大きく取り上げている。
わが国においてDSMは,行政や保険業務,疾病統計などではICDを使用することになっているため公的には用いられていないものの,精神医学と心理学の領域では臨床および研究における診断分類システムとして広く使われているため,DSM-5のもたらす影響は決して小さなものではない。今回の草案は日本語版では提供されていないため,本稿ではその概要を今後検討すべき課題と絡めて紹介してみたい。
参考文献
1) DSM-5:The Future of Psychiatric Diagnosis〔http://www.dsm5.org(cited on March 16, 2010)〕
2) Frances A:The first draft of DSM-V. BMJ 340:c1168, 2010
3) Hyman S:Can neuroscience be integrated into the DSM-V? Nat Rev Neurosci 8:725-732, 2007
4) Kupfer D, First M, Regier D:Introduction, A research agenda for DSM-V, Kupfer D, First M, Regier D, eds. pxv-xxiii, American Psychiatric Association, New York, 2002
5) 丸田敏雅,松本ちひろ,飯森眞喜雄:ICD-11「精神および行動の障害」作成の動向―これまでの経緯とDSM-5作成の活動状況.精神科診断学 2:3-27,2009
6) Psychiatric Times〔http://www.psychiatrictimes.com(cited on March 16, 2010)〕
7) World Health Organization:The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders:Clinical descriptions and diagnostic guidelines. World Health Organization, 1992
8) Yan J:APA Announces DSM-5 Task Force Members. Psychiatric News 42:10, 2007
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