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文献詳細

雑誌文献

精神医学52巻8号

2010年08月発行

文献概要

研究と報告

精神科急性期治療導入時の資源投入量に関する調査・検討

著者: 泉田信行1 野田寿恵2 杉山直也3 伊藤弘人2

所属機関: 1国立社会保障・人口問題研究所 2国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 社会精神保健研究部 3財団法人復康会沼津中央病院

ページ範囲:P.773 - P.782

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抄録

 本研究の目的は,精神科急性期治療にかかわる医療機関の治療コストと診療報酬収入を比較することである。地域的に異なる,急性期機能を担う3つの精神科病院の医師,看護師,精神保健福祉士からなる医療チームに事例を提示し,直接ケアについてヒアリング調査を行った。その結果,①隔離室を使用するような精神科急性期患者の入院1日目の収支は,どのような施設であっても赤字となる可能性が高いこと,②診療報酬基準として類似の医療機関を対象に選んだとしても,医療機関ごとに直接ケアの内容が大きく異なることが明らかになった。入院初期に十分な直接ケアの投入を可能にする診療報酬のあり方に関する議論に寄与できる結果を得た。

参考文献

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2) 樋口輝彦:精神科急性期病棟・リハビリテーション病棟等の在り方に関する研究.厚生労働科学研究費補助金障害保健福祉総合研究事業報告書.2006
3) 井上牧子,風間眞理,西澤俊朗:精神科医療における退院促進を再考する.目白大学健康科学研究 1:59-67,2008
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11) 野田寿恵:行動制限最適化データベースソフトeCODOイーコードの開発.厚生労働科学研究補助金 政策科学総合研究事業 精神保健医療における診療報酬の在り方に関する研究平成20年度報告書.2009
12) Organizational for Economic Cooperation and Development:OECD Health Data 2008:Statistics and indicators for 30 countries, OECD, Paris, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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