文献詳細
文献概要
短報
難治化した抑うつ状態からの回復過程で体感幻覚を呈した中年男性例へのrisperidoneの効果
著者: 山下晃弘12 澤村岳人1 羽部仁1 野村総一郎2
所属機関: 1自衛隊中央病院精神科 2防衛医科大学校精神科
ページ範囲:P.899 - P.902
文献購入ページに移動身体疾患がないのに,奇妙な体感の異常を訴える病態像は体感幻覚,またはセネストパチー(cenestopathy)と呼ばれる。体感幻覚(セネストパチー)はDupréとCamusにより1907年に提唱された概念4)である。狭義のセネストパチーは単一症状として体感幻覚を呈する疾患をさすが,広義のセネストパチーは症状としての体感幻覚を意味し,統合失調症,気分障害,神経症,器質性疾患などに広く認められる7)。体感幻覚は,気分障害では心気妄想を伴ううつ病に認められることが多いが,躁状態で認められた体感幻覚も報告5)されている。今回我々は,難治化した抑うつ状態からの回復過程で体感幻覚が出現し,4か月間持続した中年男性例を経験した。体感幻覚の出現後に追加投与したrisperidoneが体感幻覚と抑うつ症状に効果があったので報告する。
症例については,個人情報が特定されないように一部を変更し記載した。
参考文献
掲載誌情報