文献詳細
巻頭言
文献概要
今年5月,久しぶりにポルトガルのリスボンに行く機会があった。リスボンの郊外には,ユーラシア大陸の最西端であるロカ岬があり,風光明媚の地である。ここは18年前にも一度訪れたことがあった。眼前に果てしなく広がる大西洋,抜けるような青空と春の陽光,咲き乱れる色とりどりの花々,何一つ以前と変わりなかった。この岬には,ポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイスによる“AQUI…ONDE A TERRA SE ACABA E O MAR SE COMEçA…(ここに地終わり海始まる)”という碑があることでも有名である。宮本輝の同名の小説があることでご存じの方も多いかもしれない。この碑の前に立ってはるかかなた西方を臨むと,ただただ海が広がっており,その先の水平線もおぼろげである。
いにしえのヨーロッパの人々は大西洋と地中海の境にあるジブラルタル海峡が世界の西の果てだと考えていた。そのジブラルタル海峡を北のスペイン側と南のアフリカ側からはさむ狭い切り立った崖は,ヘラクレスの柱と呼ばれている。神話によれば,ヘラクレスによって建てられたとされるその柱には“Nec(Non)Plus Ultra(この先はなし)”という文言が刻まれており,世界の終わり,果てを示していたという。その先の海は無限の闇へと落ち込んでいると信じられ,船員たちがそれ以上進まないための警告として役立っていた。
いにしえのヨーロッパの人々は大西洋と地中海の境にあるジブラルタル海峡が世界の西の果てだと考えていた。そのジブラルタル海峡を北のスペイン側と南のアフリカ側からはさむ狭い切り立った崖は,ヘラクレスの柱と呼ばれている。神話によれば,ヘラクレスによって建てられたとされるその柱には“Nec(Non)Plus Ultra(この先はなし)”という文言が刻まれており,世界の終わり,果てを示していたという。その先の海は無限の闇へと落ち込んでいると信じられ,船員たちがそれ以上進まないための警告として役立っていた。
参考文献
1) フランシス・ベーコン(桂寿一訳):ノヴム・オルガヌム―新機関―.岩波書店,1978
2) 長谷川眞理子:科学の目 科学のこころ.岩波新書,1999
3) A decade for psychiatric disorders. Nature 463:9, 2010
掲載誌情報