文献詳細
文献概要
特集 震災時の避難大作戦:精神科編
災害時の病院避難計画のための基礎知識
著者: 冨岡譲二1
所属機関: 1福岡和白病院ER・ICUセンター
ページ範囲:P.1049 - P.1057
文献購入ページに移動はじめに:病院避難計画の必要性
災害時に医療機関が果たすべき役割は大きく2つに分かれる。
1つは,災害によって発生した傷病者の救護と治療であり,もう1つは自施設の人員の安全確保と保護である。
前者には,自施設への被災患者の受け入れや,院外・地域外への医療班・DMAT(disaster medical assistance team)などの派遣が含まれる。一般に「災害時の医療」というとこの側面が取り上げられがちであるが,実際には災害時にこのような役割を果たすことが期待されているのは,各都道府県があらかじめ定めた災害拠点病院などの限られた医療機関であり,すべての医療機関でこのような場合を想定した計画を立てる必要はない。
しかしながら,後者,すなわち,自施設の人員の保護は,すべての医療機関が考えておかなくてはいけない問題である。入院施設がある医療機関はもちろんのこと,入院設備がない医療機関でも,災害発生が診療時間帯に重なっていれば,患者や家族は施設内に存在するわけであるし,医療スタッフも院内にいる。たとえ自施設が被災患者を受け入れないとしても,このような,自施設内の人員の安全を確保し,安全に避難誘導を行うための計画を立てることは,すべての医療機関で必要になる。また,計画だけではなく,その計画を実際に動かしてみる訓練も定期的に行われなくてはならない(コラム1参照)。
災害時に医療機関が果たすべき役割は大きく2つに分かれる。
1つは,災害によって発生した傷病者の救護と治療であり,もう1つは自施設の人員の安全確保と保護である。
前者には,自施設への被災患者の受け入れや,院外・地域外への医療班・DMAT(disaster medical assistance team)などの派遣が含まれる。一般に「災害時の医療」というとこの側面が取り上げられがちであるが,実際には災害時にこのような役割を果たすことが期待されているのは,各都道府県があらかじめ定めた災害拠点病院などの限られた医療機関であり,すべての医療機関でこのような場合を想定した計画を立てる必要はない。
しかしながら,後者,すなわち,自施設の人員の保護は,すべての医療機関が考えておかなくてはいけない問題である。入院施設がある医療機関はもちろんのこと,入院設備がない医療機関でも,災害発生が診療時間帯に重なっていれば,患者や家族は施設内に存在するわけであるし,医療スタッフも院内にいる。たとえ自施設が被災患者を受け入れないとしても,このような,自施設内の人員の安全を確保し,安全に避難誘導を行うための計画を立てることは,すべての医療機関で必要になる。また,計画だけではなく,その計画を実際に動かしてみる訓練も定期的に行われなくてはならない(コラム1参照)。
参考文献
1) 横森忠紘:新潟中越地震を経験して.医療経営情報研究所 編,病院・施設の防災“実戦”ハンドブック.経営書院,2006, pp12-25
2) 藤田暁士:「鍵」の管理が精神科病院の命題.医療経営情報研究所 編,病院・施設の防災“実践”ハンドブック,経営書院,2006, pp268-271
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