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文献詳細

雑誌文献

精神医学53巻11号

2011年11月発行

特集 震災時の避難大作戦:精神科編

精神科医のための災害時外傷応急処置

著者: 中川雄公1 嶋津岳士1

所属機関: 1大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター

ページ範囲:P.1059 - P.1064

文献概要

はじめに

 2011年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)における人的被害は,死者15,683名,行方不明者4,830名,負傷者5,712名となっており3),亡くなられた方の多くは,地震直後に発生した津波による溺死が原因と推定されている。一方,1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災では,死者6,402名のうち,72.6%が窒息・圧死であり,外傷性ショック7.8%,焼死7.4%と続いている1)。このように2つの震災を比較しても,その地震の規模や発生場所,さらには津波の発生などにより死因は大きく異なってくるが,東日本大震災においても5,712名の負傷者が発生しており,震災時には建物の倒壊や火災による負傷者が多数発生することは間違いがない。災害に見舞われた地域の医療者は,日常診療で外傷患者の診療に従事することが少ないであろう精神科医も被災者となると同時に,医療を必要とする多くの外傷患者に直面することとなる。本稿では,災害時の外傷応急処置について解説する。

参考文献

1) 兵庫県企画県民部災害対策局災害対策課:阪神・淡路大震災の死者にかかる調査について(http://web.pref.hyogo.jp/pa20/pa20_000000016.html)
2) 池側均,杉本壽:処置法 熱傷治療の基本と実際.外科治療 99:266-273,2008
3) 警察庁緊急災害警備本部:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の被害状況と警察措置(http://www.npa.go.jp/archive/keibi/biki/higaijokyo.pdf)
4) 木所昭夫編著:熱傷治療マニュアル.中外医学社,pp407-412,2007
5) 毛利智好,小倉裕司,杉本壽:クラッシュ症候群.からだの科学 248:18-20:2006
6) 内閣府:首都直下地震対策について(http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/taisaku_syuto/pdf/gaiyou/gaiyou.pdf)
7) 日本外傷学会,日本救急医学会 監修:外傷初期診療ガイドラインJATEC改訂第3版.へるす出版,2008
8) 小栗顕二,吉岡敏治,杉本壽 監訳:大事故災害への医療対応 現場活動と医療支援 第2版.永井書店,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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