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文献詳細

雑誌文献

精神医学53巻12号

2011年12月発行

文献概要

展望

詐病の精神鑑定と裁判所

著者: 西山詮1

所属機関: 1錦糸町クボタクリニック

ページ範囲:P.1145 - P.1155

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はじめに

 最高裁判所(以下は最高裁と略す)が扱った刑事事件と民事事件の各1例を掲げ,裁判所が詐病をどのように扱ってきたか,これら判例を法学者がいかに評価してきたかを概観し,わが国の詐病学の貧困な現状および向後の発展の必要を明らかにしたい。いくらか古典化しつつある判例に詐病学の観点から息を吹き込む試みである。

 詐病に取り組む研究者はまれであるが,実際には,詐病は,裁判でしばしば現れまたは隠れた問題になり,裁判所もその取り扱いに苦慮している。そこへ「近年『心因性』ということばが流行し,割合的認定の手法で解決することが一般となったが,このことが,かえって,本来ならば民事訴訟で要求される証明度に達しておらず,請求棄却してもよい事案を中途半端に認容するなど,事実認定,特に因果関係の認定を甘くしている嫌いがある」12)とすれば,見逃すことはできない。

 裁判官に詐病の認定まで求めるのは酷だと考える人12)もあるが,裁判官こそ最終的に詐病(か否か)を認定する職責を持った人である14)。当然,裁判官は詐病を認定することができなければならない。これに対して精神科医は適切な意見を提供できる準備をすべきである。

参考文献

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33) World Health Organization:The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders. Clinical Descriptions and Diagnostic Guidelines. WHO, 1992.融道男,中根允文,小見山実 監訳:ICD-10精神および行動の障害.臨床記述と診断ガイドライン.医学書院,1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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