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連載 「継往開来」操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ
心因反応,異常体験反応
著者: 針間博彦1 古茶大樹2
所属機関: 1東京都立松沢病院精神科 2慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.1224 - P.1227
文献購入ページに移動ICD-10で「F4神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害」という大カテゴリーにまとめられている諸障害は,伝統的には心因反応ないし神経症と呼ばれたものである。「心因性(psychogenic)」という語は「心因性もうろう状態」「心因性健忘」のように,身体性と対比して用いられてきた経緯があり,ICD-10では,明らかなライフイベントや困難が障害の発生に重要な役割を果たしているという意味で,なおこの語が本文の中で時に用いられている。「心因反応(psychogenic reaction)」という語は従来,狭義には特定の体験に対するパーソナリティの急性の反応を示すが,実際には,この直接的な「反応」に触発される心の動きがただちに始まるため,臨床的にどこからどこまでが狭義の「反応」と呼べるのか判断することは難しい。そのため,「心因反応」は広義には神経症を含む上位概念としても用いられてきた。本稿では,Schneider4)の異常体験反応という概念を通じて,この領域を概説する。
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