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文献詳細

雑誌文献

精神医学53巻2号

2011年02月発行

資料

古代の日本人の自殺について―『日本書紀』の自殺記事による検討

著者: 鈴木英鷹1 野村和樹1

所属機関: 1大阪河﨑リハビリテーション大学リハビリテーション学部

ページ範囲:P.191 - P.196

文献概要

はじめに

 わが国の年間自殺者数は,1998年以来3万人を超える水準が続くという深刻な事態が続いている。このような現状を背景に,2006年には自殺対策基本法が公布,施行され,自殺予防は社会全体で取り組むべき課題であると宣言された。2008年のWHO(世界保健機関)の資料において,日本はベラルーシ,リトアニア,ロシア,ハンガリーなどに次ぐ世界第6位の自殺率の高さである。このように,国内の混乱が続く体制移行国に次いで高い自殺率ということから,日本の自殺率は異常な値であるといわざるを得ない。この理由については,精神医学的見地,社会学的見地,文化人類学的見地などから検討がなされていることは周知のごとくである。本論文では,古代の自殺の特徴を明らかにするとともに,昨今の日本人の自殺率の高さは,古代より日本人の持っていた生死に関するなんらかの価値観が一因であると考え,古代の自殺事例を通して,その価値観を探ることとした。

参考文献

1) 浅見宗平:ふしぎな記録第3巻.一神会出版部,pp56-85, 1999
2) 江馬務:自殺史.江馬務著作集第6巻.中央公論社,pp348-363, 1977
3) 江馬務:自殺史.江馬務著作集第6巻.中央公論社,pp353-354, 1977
4) 平山城児:日本文学にあらわれた自殺の諸相.大原健士郎 編,作家と自殺.至文堂,pp194, 1972
5) Maurice P 著,竹内信夫 訳:自死の日本史.筑摩書房,pp87-90, 1986
6) 中村吉峽:自殺及情死の研究.日本精神医学会,pp270-274, 1922
7) 中西進:古代社会と自殺.大原健士郎 編,作家と自殺.至文堂,pp51-58, 1972
8) 岡田靖雄:日本精神科医療史.医学書院,pp7, 2002
9) 山名正太郎:日本自殺情死紀.大同館書店,pp1-23, 1931
10) 山名正太郎:自殺について.北隆館,pp135-136, 1949

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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