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巻頭言
赤ひげ先生の行方
著者: 川﨑康弘1
所属機関: 1金沢医科大学精神神経科学
ページ範囲:P.212 - P.213
文献購入ページに移動人が体の不調を訴えるとき,身体の問題だけにとどまらず,その人を取り巻く心理状況や社会背景からも多大な影響を受けている。George Engelは1977年に「生物-心理-社会モデル」を提唱し,病気を理解するためには生物医学モデルだけではなく,心理,社会的要因を含めたシステムの異常としてとらえる必要があると主張した。すなわち,診断と治療に注意を注ぎながらも,同時に患者の人間としての側面や,患者-医療者関係,家族,社会背景といった側面にも目を向けて,これらの因子がどのように結び付いているか統合的に理解することが必要である。また,最近多く耳にする「患者中心の医療」とは,患者と医療者が対等であることを意味するが,患者自身の観点から病むことを理解すること,病むことの体験を全人的に理解することなど,心理-社会的アプローチが強調されている。Moira Stewartらによると,患者中心の医療を行うと患者満足度のみならず医師の診療における満足度も高かったという。
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