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文献詳細

雑誌文献

精神医学53巻3号

2011年03月発行

文献概要

私のカルテから

身体表現性障害として治療されていた神経梅毒の1例

著者: 藤野純也1 田中秀樹1 谷口典男1 田伏薫1

所属機関: 1浅香山病院精神神経科

ページ範囲:P.293 - P.295

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はじめに

 神経梅毒は,診断・治療開始が遅れると重篤な後遺症を残すことがあり,早期の診断と治療が求められる。しかし,まれな疾患であるという理由だけでなく,神経梅毒は初期症状として,不眠,頭痛,イライラ,嘔気など,非特徴的な症状しか認めないことが多く,初診時に見逃された症例が少なからず報告されている1,5)。今回我々は,身体表現性障害として治療されていた神経梅毒の1例を経験したので報告する。なお,本報告にあたっては,患者および家族から口頭による同意を得ている。

参考文献

1) Fichtner CG, Weddington WW:Suspicion of somatoform disorder in undiagnosed tabes dorsalis. Br J Psychiatry 159:573-575, 1991
2) 北林百合之介,上田英樹,成本迅,他:進行麻痺症例の長期縦断的SPECT所見変化に関する1考察.精神医学 42:1263-1269, 2000
3) 木村三生夫:感染症発生動向調査 2008年概況.臨床とウイルス 37:224-242, 2009
4) 中島直,赤松智孝:神経梅毒の診断と治療について―文献的考察と現状に関する批判的検討.臨精医 29:439-448, 2000
5) 白谷敏宏,迫口武夫,和田学,他:Alzheimer病として治療されていた進行麻痺の1症例.精神医学 42:1342-1343, 2000
6) 山本英樹,小久保羊介,山縣文,他:進行麻痺における神経心理学的所見と脳血流所見の経時的変化.老年精医誌 20:199-205, 2009
7) 山内渉,照井正:梅毒―診断のポイントと盲点.診断と治療 95:1597-1601, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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