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文献詳細

雑誌文献

精神医学53巻3号

2011年03月発行

文献概要

書評

―岩田 誠,河村 満 編―《脳とソシアル》ノンバーバルコミュニケーションと脳―自己と他者をつなぐもの フリーアクセス

著者: 鈴木匡子1

所属機関: 1山形大学大学院高次脳機能障害学

ページ範囲:P.304 - P.304

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ノンバーバルコミュニケーションの広がりと神経基盤を知るに最適な1冊

 コミュニケーションは「自己と他者をつなぐもの」である。本書は,その中でも言語を使わないノンバーバルコミュニケーションのために脳がどんなしくみを持っているのかをさまざまな角度からみせてくれる。本書で取り上げられているノンバーバルコミュニケーションは多岐にわたる。目の認知や視線の方向から,顔の表情や向き,身体の姿勢,動きや行為,さらに社会の中での行動までカバーされている。そして,話題はこれらの機能を支える神経基盤だけでなく,ミラーシステム,脳指紋,社会的要因と脳機能の相互関係,脳科学の社会的意義にまで及ぶ。

 本書の斬新さは,広汎な研究をノンバーバルコミュニケーションという視座からとらえ直すことによって,それぞれの研究の意義を浮き彫りにしている点にある。たとえば,顔認知を支える脳に関して,神経細胞活動記録,脳波,脳磁図,近赤外線分光法,機能的MRIなどを駆使した各研究は,それぞれ非常に読み応えがある。それだけでなく,岩田誠先生と河村満先生の対談で,ノンバーバルコミュニケーションとしての顔認知の位置づけが明らかにされることによって,個々の研究結果を統合的に理解することができる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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