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研究と報告
日本における排出行動障害の実態について
著者: 中井義勝1
所属機関: 1京都健康科学研究所
ページ範囲:P.317 - P.322
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特定不能の摂食障害に含まれる排出行動障害(PD)について臨床サンプルと非臨床サンプルについて検討した。臨床サンプルについて,1,030名の摂食障害患者中PDは29名(2.9%)と,神経性食欲不振症(AN)384名の1/10以下で,PDはANより多いという欧米の臨床サンプルの結果と異なった。Keelの提唱するPDの診断基準を検討したが,症例数が少なく結論が得られなかった。一方,非臨床サンプルについて,2,430名の女子高校生中PDは0.7%,ANは0.4%で,欧米の非臨床サンプルの成績と類似していた。非臨床サンプルではPDの発症率は日本と欧米で類似していたが,その受診率は日本は欧米に比し低かった。
特定不能の摂食障害に含まれる排出行動障害(PD)について臨床サンプルと非臨床サンプルについて検討した。臨床サンプルについて,1,030名の摂食障害患者中PDは29名(2.9%)と,神経性食欲不振症(AN)384名の1/10以下で,PDはANより多いという欧米の臨床サンプルの結果と異なった。Keelの提唱するPDの診断基準を検討したが,症例数が少なく結論が得られなかった。一方,非臨床サンプルについて,2,430名の女子高校生中PDは0.7%,ANは0.4%で,欧米の非臨床サンプルの成績と類似していた。非臨床サンプルではPDの発症率は日本と欧米で類似していたが,その受診率は日本は欧米に比し低かった。
参考文献
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2) Binford BR, le Grange D:Adolescents with bulimia nervosa and eating disorder not otherwise specified-purging only. Int J Eat Disord 38:157-161, 2005
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9) 中井義勝:典型的神経性食欲不振症と非典型的食欲不振症について.精神医学 51:1093-1098, 2009
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