文献詳細
文献概要
動き
「第15回日本神経精神医学会」印象記
著者: 大東祥孝12
所属機関: 1京都大学 2湖南病院
ページ範囲:P.408 - P.408
文献購入ページに移動 2010年12月3,4日と,順天堂大学医学部有山記念講堂において,精神医学講座の新井平伊教授の主宰のもとに,第15回日本神経精神医学会が開催された。私はこの学会には,2003年に愛媛で行われた第8回から参加させていただいている。その時は故田邉敬貴教授の主宰で,確か私はカプグラ症状関連の講演をさせていただいた記憶があるが,当時の出席者は,器質性精神疾患に関心を寄せる精神科医が中心であったように記憶する。第12回になっておそらくはじめて,神経内科医である東京女子医科大学の岩田誠教授が会長をされ,しかもワークショップで「解離性健忘」が取り上げられたことが強く印象に残っている。そうした流れがあって,今回会長の新井教授は,「本学会は,認知や行動の面に関心を寄せる神経内科医と器質性精神障害に関心を寄せる精神科医が,お互いの専門性に依拠しつつ自由にクロストークし,活発な情報交換を行う大変貴重な場」という見事な位置づけをされている。少なくともここ数回のこの学会に参加していると,まさに新井教授の言がそのまま体現されていて,大変に楽しく,知的好奇心を強く刺激される得難い学会であることを痛感する。それほど参加者が多くはないことも幸いして,ポスター以外の口演はすべて1つの会場で行われるので,関心を共有する同僚諸氏と,2日間,ずっと共通のテーマを対象に議論ができることが,この学会をいっそう魅力あるものにしている。率直にいって最近では,私にとってもっとも熱心にコミットできる数少ない会合の1つである。今回は新井教授の,優秀ポスター賞や症例発表への感謝状など,心憎い配慮もあって,いっそうの盛り上がりをみせた。
精神科と神経内科の接点の1つである「せん妄」をめぐるワークショップ,理論的側面の深まりが大きかった「神経精神症状の生物学的基盤」と,最先端の情報に教えられるところの大きかった「見えてきた新治療による介入」という魅力ある2つのシンポジウムもさることながら,この学会の得難い醍醐味は,とりわけ時間をかけた症例検討にある,といってよい。それも,共通の症候論的認識を確認したうえで,行動神経学,神経心理学,神経病理学,認知症などを得意とする日本のリーダーといってよい方々が,熱い議論を戦わすのである。おもしろくないわけがない。こうして若手の面々もベテランの域に達している先生方も,同じ土俵で症例検討をすることになる。そもそも神経内科医と精神科医が,これほどに高い水準で議論しあう学会というのは,私の知る限り,他にはないと思う。今回もまことに充実した2日間であった。
精神科と神経内科の接点の1つである「せん妄」をめぐるワークショップ,理論的側面の深まりが大きかった「神経精神症状の生物学的基盤」と,最先端の情報に教えられるところの大きかった「見えてきた新治療による介入」という魅力ある2つのシンポジウムもさることながら,この学会の得難い醍醐味は,とりわけ時間をかけた症例検討にある,といってよい。それも,共通の症候論的認識を確認したうえで,行動神経学,神経心理学,神経病理学,認知症などを得意とする日本のリーダーといってよい方々が,熱い議論を戦わすのである。おもしろくないわけがない。こうして若手の面々もベテランの域に達している先生方も,同じ土俵で症例検討をすることになる。そもそも神経内科医と精神科医が,これほどに高い水準で議論しあう学会というのは,私の知る限り,他にはないと思う。今回もまことに充実した2日間であった。
掲載誌情報