icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学53巻6号

2011年06月発行

文献概要

研究と報告

包括型地域生活支援プログラム(ACT)のプログラム要素に対する利用者認知尺度の信頼性と妥当性の検討

著者: 贄川信幸1 大島巌2 園環樹3 小川雅代4 深澤舞子5 伊藤順一郎6

所属機関: 1日本社会事業大学社会事業研究所 2日本社会事業大学社会福祉学部 3株式会社シロシベ 4東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野 5国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所成人精神保健研究部 6国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所社会復帰研究部

ページ範囲:P.523 - P.533

文献購入ページに移動
抄録

 本研究では,重い精神障害を持つ人たちに対する包括型地域生活支援プログラム(ACT)のプロセスを利用者が評価する,ACTのプログラム要素に対する利用者認知尺度の信頼性と妥当性を検討した。千葉県国府台地区で実践されているACT-Jの利用者102名のうち65名から回答を得た(回収率63.7%)。本尺度はほぼ十分な内的整合性と再検査信頼性が確認された(α:0.67~0.85,r:0.74~0.91)。また,サービス満足度との有意な相関が示され,併存的妥当性が確認された(r:0.35~0.60)。本尺度は,ACTの重要要素に対する利用者の認識をとらえられ,ACTの質向上に有用な情報を提供し得ると考えられた。

参考文献

1) ACT-Jスタンダーズ検討委員会:ACT-JスタンダーズVer3.0.厚生労働科学研究補助金「重度精神障害者に対する新たな訪問型の包括的地域生活支援サービス・システムの開発に関する研究」(主任研究者:塚田和美)平成14年度―平成16年度総括報告書.pp191-209, 2005
2) Burns BJ, Santos AB:Assertive Community Treatment:An update of randomized trials. Psychiatr Serv 46:669-675, 1995
3) 英一也,伊藤順一郎:ACT利用者の社会生活機能回復に関する数量的研究.厚生労働省科学研究費補助金「重度精神障害者に対する包括型地域生活支援プログラムの開発に関する研究」(主任研究者:伊藤順一郎)平成17年度―平成19年度総括研究報告書.pp125-130, 2008
4) 伊藤順一郎,塚田和美,大島巌,他:厚生労働科学研究費補助金「重度精神障害者に対する包括型地域生活支援プログラムの開発に関する研究」(主任研究者:伊藤順一郎)平成17年度―平成19年度総括報告研究書,2008
5) McGrew JH, Wilson RG, Bond GR:An exploratory study of what clients like least about assertive community treatment. Psychiatr Serv 53:761-763, 2002
6) McHugo GI, Drake RE, Teague GB et al:Fidelity to assertive community treatment and client outcome in the New Hampshire dual disorders study. Psychiatr Serv 50:818-824, 1999
7) 小川雅代,園環樹,宮本有紀,他:ACT利用者における身体疾患の状況.厚生労働省科学研究費補助金「重度精神障害者に対する包括型地域生活支援プログラムの開発に関する研究」(主任研究者:伊藤順一郎)平成17年度―平成19年度総括研究報告書.pp121-124, 2008
8) Oshima I, Cho N, Takahashi K:Effective components of a nationwide case management program in Japan for individuals with severe mental illness. Community Ment Health J 40:525-537, 2004
9) 大島巌,伊藤順一郎,園環樹,他:ACTのプログラム要素に対する利用者認知尺度の開発過程―包括型地域生活支援プログラムの機能評価に関する研究.厚生労働科学研究補助金「重度精神障害者に対する新たな訪問型の包括的地域生活支援サービス・システムの開発に関する研究」(主任研究者:塚田和美)平成14年度―平成16年度総括報告書.pp116-129, 2005
10) 大島巌,園環樹,贄川信幸,他:ACT-Jのプロセス・フィデリティ評価に関する研究:DACTS(Dartmouth Assertive Community Treatment Scale)および電子カルテ様データベース・サービスコードによる時系列評価.厚生労働科学研究補助金「重症精神障害者に対する包括的地域生活支援プログラムの開発に関する研究」(主任研究者:伊藤順一郎)平成17年度―平成19年度分担研究報告書.pp55-70, 2008
11) 大島巌,高山茉理子,園環樹,他:個別利用者フィデリティ尺度(ICFS)~ケアマネージャー評価ACTフィデリティ評価~.文部科学研究補助金「心理社会的介入プログラムのプロセス評価法開発と効果的な援助要素の分析」(研究代表者:大島巌)平成16年度~平成19年度研究成果報告書.pp77-82, 2009
12) Substance Abuse and Mental Health Service Administration:Implementation Resource Kit for Assertive Community Treatment, 2006(日本精神障害者リハビリテーション学会 監訳:アメリカ連邦政府EBP実施・普及ツールキットシリーズ2-I ACT・包括型地域生活支援プログラム.特定非営利活動法人地域精神保健福祉機構,2008)
13) 立森久照,伊藤弘人:日本語版Client Satisfaction Questionnaire 8項目版の信頼性および妥当性の検討.精神医学 41:711-717, 2002
14) Teague GB, Bond GR, Drake RE:Program fidelity in assertive community treatment:Development and use of a measure. Am J Orthop 68:216-232, 1998
15) 特定非営利活動法人地域精神保健福祉機構・COMHBO・ACT-IPSセンター:厚生労働省平成21年度障害者保健福祉推進事業「全国ACT(包括型地域生活支援プログラム)の質の向上のための実態調査と新規事業者のデータベース整備・コンサルティング・研修事業」事業報告書,2010
16) 塚田和美,伊藤順一郎,大島巌,他:厚生労働科学研究費補助金「重度精神障害者に対する新たな訪問型の包括的地域生活支援サービス・システムの開発に関する研究」(主任研究者:塚田和美)平成14年度―平成16年度総括研究報告書.2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?