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文献詳細

雑誌文献

精神医学53巻6号

2011年06月発行

文献概要

私のカルテから

アルツハイマー病の前駆状態と思われる患者にみられたうつ症状に塩酸ドネペジルが有効であった1例

著者: 岩本崇志1 中津啓吾1 小早川英夫1 竹林実12

所属機関: 1国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター精神科 2国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部 精神神経科学研究室

ページ範囲:P.581 - P.583

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はじめに

 高齢化に伴い,老年期うつ病の罹患率は増加しており,非老年期と比べ予後は不良であるといわれている。この原因の一端として,認知症と境界不明瞭な一群が存在する可能性が指摘されている。今回,我々は,治療抵抗性かつ反復性の老年期うつ病が当初疑われた患者に対して,画像所見からアルツハイマー病(AD)の前駆状態と考えてmilnacipran(MIL)に塩酸ドネペジル(DPZ)を併用した結果,抑うつ症状の改善がみられた1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。

参考文献

1) Dobie DJ:Depression, dementia, and pseudodementia. Semin Clin Neuropsychiatry 7:170-186, 2002
2) Pelton GH, Harper OL, Tabert MH, et al:Randomized double-blind placebo-controlled donepezil augmentation in antidepressant-treated elderly patients with depression and cognitive impairment:A pilot study. Int J Geriatr Psychiatry 23:670-676, 2008
3) 巣山理恵,重富雄哉,須田史朗,他:脳萎縮を伴う遷延性うつ病に対してドネぺジルが著効した1症例.精神経誌 110(Suppl):S211, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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