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文献詳細

雑誌文献

精神医学53巻6号

2011年06月発行

文献概要

連載 「継往開来」操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ

思春期妄想症

著者: 山下格1

所属機関: 1北海道大学医学部

ページ範囲:P.585 - P.587

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はじめに

 思春期妄想症は,村上靖彦氏らが1960年代から詳細な臨床的検討を重ねて報告した症候群である2,3)。その内容は対人恐怖と関連が深く,今もよく参照・引用される。

 一方,1980年に発表されたDSM-Ⅲには,社会恐怖(DSM-Ⅳの社交不安障害)がほとんど唐突に取り上げられ,わが国で早くから知られた対人恐怖との異同が関心を呼んだ。筆者は同じ1960年代から対人恐怖の診療の際にしばしば自己の症状に妄想的意味づけをする症例を経験したが,その訴えはDSMの記載とは異なり,上記の思春期妄想症に共通するところが多かった5,6)。今回,操作的診断基準による報告との相違を検討するため,村上氏に代わって要点を紹介する。

参考文献

1) Choy Y, Schneider FR, Heimberg RG, et al:Features of the offensive subtype of Taijin-Kyofu-Sho in the US and Korean patients with DSM-Ⅳ social anxiety disorder. Depress Anxiety 25:230-240, 2008
2) 村上靖彦:思春期妄想症.清水将之,高橋徹,吉松和哉 編,神経症の周辺―「境界領域症候群」について.医学書院,pp58-83,1981
3) 村上靖彦,大磯英雄,青木勝,他:青春期に好発する異常な確信的体験.精神医学 12:573-578,1970
4) 高橋三郎 訳:DSM-Ⅲ-Rケースブック.医学書院,pp 492-495, 1990
5) 山下格:対人恐怖.金原出版,1977
6) Yamashita I:Taijin-kyofu or delusional social phobia. Hokkaido University Press, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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