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短報
認知機能障害に対して塩酸ドネペジルが有効であったクモ膜下出血後高次脳機能障害の1例
著者: 枝雅俊1 本田修2 原寛美3
所属機関: 1北海道立緑ヶ丘病院精神科 2白石脳神経外科病院 3慈泉会相澤病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.655 - P.657
文献購入ページに移動前交通動脈部の動脈瘤破裂によるクモ膜下出血(SAH)では,しばしば後遺症として記銘力障害などの高次脳機能障害が生じる。これは前交通動脈症候群と呼ばれ9),若年者にも生じ得る認知症状態である。この種の高次脳機能障害は,失職,経済的困難,対人関係の変化など,社会生活上の問題をもたらすとともに7),長年月にわたる介護を要するため,少なからぬ社会的コストを生じる。これまで対策としては,国内では薬物療法の有用性が認められず2),主にリハビリテーション中心のケアが行われてきた。我々は今回,SAH発症の約1年後からアルツハイマー型認知症治療薬である塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト®)3~5mg/日を投与したところ,認知機能が改善し,地域社会への復帰を果たした1症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する(プライバシーに配慮して一部を改変)。
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