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文献詳細

雑誌文献

精神医学53巻8号

2011年08月発行

文献概要

特集 性同一性障害(GID)

性同一性障害の身体的治療とその課題

著者: 中塚幹也123

所属機関: 1岡山大学大学院保健学研究科 2岡山大学病院ジェンダークリニック 3GID(性同一性障害)学会

ページ範囲:P.769 - P.774

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はじめに

 性同一性障害(Gender Identity Disorder;GID)は,「女性が男性の身体に閉じ込められた状態(male to female;MTF)」,あるいは,「男性が女性の身体に閉じ込められた状態(female to male;FTM)」といえ,性別違和感のため自分の身体の性を強く嫌い,その反対の性に強く惹かれた心理状態が続く10,16)。精神療法によって心の性を変えることはできず,身体の性を心の性に合わせるようなホルモン療法や手術療法が行われる。

 依然として性同一性障害への身体的治療に関する医学的知見は不足しており,それを行うこと,行えないことに伴い発生する各種の問題への医療的・社会的対応に関する検討も十分とはいえない。

参考文献

1) 赤堀洋一郎,中塚幹也,野口聡一,他:性同一性障害症例の医療費の現状―ホルモン療法を中心に.臨婦産 57:1335-1341, 2003
2) Asscheman H, Giltay EJ, Megens JA, et al:A long-term follow-up study of mortality in transsexuals receiving treatment with cross-sex hormones. Eur J Endocrinol 164:635-642, 2011
3) Emi Y, Adachi M, Sasaki A, et al:Increased arterial stiffness in female-to-male transsexuals treated with androgen. J Obstet Gynaecol Res 34:890-897, 2008
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5) Green R:Transsexual legal rights in the United States and United Kingdom:Employment, medical treatment, and civil status. Arch Sex Behav 39:153-160, 2010
6) 菊池由加子,中塚幹也,小西秀樹,他:Male to Female Transsexuals(性同一性障害)のホルモン療法の現状.臨婦産 56:1030-1035, 2002
7) 中塚幹也,小西秀樹,工藤尚文:産婦人科と性同一性障害.岡山医学会雑誌 113:273-278, 2001
8) 中塚幹也,小西秀樹,工藤尚文,他:岡山大学ジェンダークリニックにおける性同一性障害121症例の検討.産と婦 70:368-373, 2003
9) 中塚幹也,江見弥生:思春期の性同一性障害症例の社会的,精神的,身体的問題点と医学的介入の可能性についての検討.母性衛生 45:278-284, 2004
10) 中塚幹也:性同一性障害と性のグラデーション.篠原駿一郎,浅田淳一 編,男と女の倫理学―よく生きるための共生学入門.ナカニシヤ出版,pp24-45, 2005
11) 中塚幹也,安達美和,松尾環,他:性同一性障害の説明と治療を希望する年齢に関する調査.母性衛生 46:543-549, 2006
12) 中塚幹也:ホルモン療法(内分泌治療)の諸問題.GID学会雑誌 1:204, 2008
13) 中塚幹也:性同一性障害.「産科と婦人科」編集員会 編,産婦人科ホルモン療法マニュアル.診断と治療社,pp234-240, 2008
14) 中塚幹也:新連載:性同一性障害の生徒の問題に向き合う.中学保健ニュース第1445号付録,第1446号付録,第1447号付録,少年写真新聞社,2009
15) 中塚幹也,平松祐司:性同一性障害と思春期.産婦治療 99:589-593, 2009
16) 中塚幹也:ジェンダーとセクシュアリティ.石原理,柴原浩章,三上幹男,他 編,講義録 産科婦人科学.メジカルビュー社,pp56-57, 2010
17) 中塚幹也:性同一性障害のホルモン投与中の検査.日本医事新報 No.4481:82-83, 2010
18) 中塚幹也:学校保健における性同一性障害:学校と医療との連携.日本医事新報 No.4521:60-64, 2010
19) Nakatsuka M:Endocrine treatment of transsexuals:Assessment of cardiovascular risk factors. Expert Rev Endocrinol Metab 5:319-322, 2010
20) 中塚幹也:産婦人科に関わる法と倫理の現状―性同一性障害.産婦実際 59:2177-2183, 2010
21) 中塚幹也:AIDで生まれた子どもと家族④:生まれた子の地位確保を.岡山日日新聞2011年4月6日朝刊
22) 中塚幹也:症候・病態別にみたホルモン療法:性同一性障害.日本産婦人科医会・研修委員会 編,研修ノートNo.88「ホルモン療法のすべて」.日本産婦人科医会,2011(印刷中)
23) 大田有貴子,新井富士美,富岡美佳,他:性同一性障害の外来診療システムの実態と課題.GID学会雑誌 3:4-12, 2010
24) 関明彦,中塚幹也:性同一性障害(GID)診療の継続性に関する検討:O大学病院産婦人科の事例から.第68回日本公衆衛生学会総会抄録集,p536, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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